健康

【獣医師監修】猫のフケは病気?フケの原因や考えられる病気・対処法を詳しく解説

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はじめに

猫にフケが出てきて気になるという方は多いのではないでしょうか。

猫のフケの量が少しの場合なら心配する必要はありません。しかし、フケが過剰に出ている場合は病気の可能性を疑うべきです。

今回は猫のフケについて詳しく紹介します。

フケの原因や考えられる病気、対処法を詳しく解説するので、猫のフケが気になる方はぜひチェックしてください。

猫のフケは病気?

まず、猫のフケが過剰に出る場合は病気の可能性があります。フケが発生する過程をチェックして、対策できるようにしましょう。

フケは古くなった皮膚の角質細胞

フケは猫の皮膚の代謝で発生するもので、古くなった皮膚の角質細胞が剥がれ落ちたものです。

皮膚は外部からの刺激や感染から身体を守るバリア機能を持っており、バリアを維持するために常に新しい細胞が生成され、古い細胞が排出されます。

そのため、古くなった角質細胞が細かい粉状のフケとして現れるのです。

猫の毛皮に付着したフケは、毛づくろいの際に舐め取られる場合が多いですが、特に黒っぽい毛の猫ではフケが目立ちやすくなります。

フケ自体は正常な皮膚の現象ですが、過剰に出る場合や目立つ場合は、他の要因や健康問題に注意が必要です。

少量のフケは問題ない

猫にフケがみられても、少量の場合は問題ありません。

フケは古くなった皮膚の角質細胞が自然に剥がれ落ちて生じるため、一定量のフケは健康な皮膚の状態です。

特に乾燥しやすい季節や、暖房の効いた室内環境では、猫の皮膚も乾燥しがちで、少し多めにフケが出る場合があります。

しかし、フケの量が急に増えたり、猫がかゆがっている様子が見られたりする場合は、注意が必要です。

フケが過剰に出ている場合は病気の可能性

猫のフケが過剰に出ている場合、何らかの病気の可能性があります。フケが大量に発生する原因はアレルギー性皮膚炎や寄生虫感染、皮膚糸状菌による感染などです。

アレルギー性皮膚炎は、特定の食材や環境に対するアレルギー反応で、皮膚のかゆみや赤み、フケの増加を引き起こします。

また、ノミやダニなどの寄生虫が猫の皮膚に寄生すると、激しいかゆみや皮膚の炎症を引き起こし、フケが大量に発生する場合も多いです。

皮膚糸状菌による感染も、フケの増加と共に皮膚の炎症や脱毛を伴います。

猫のフケが過剰に出ている場合は、紹介した病気や健康問題を疑い、獣医師の診察を受けましょう。

猫のフケが多い時の病気以外の原因

次に、猫のフケが多い時の病気以外の原因を紹介します。

  • 毛づくろいの頻度が少ない
  • 恐怖やストレスを感じている
  • 皮膚が乾燥している
  • 栄養状態が悪い

それぞれ詳しく紹介するので、猫のフケが気になる場合は病気以外の原因も疑いましょう。

毛づくろいの頻度が少ない

まず、猫のフケが多くなる病気以外の原因は毛づくろいの頻度が少ないからです。

猫は通常、自分自身で毛づくろいを行い、被毛や皮膚を清潔に保ちます。毛づくろいで古くなった皮膚の角質細胞や抜け毛、汚れを取り除きます。

しかし、何らかの理由で猫が毛づくろいをあまり行わない場合、フケが被毛に蓄積しやすくなるのです。

特に高齢の猫や肥満の猫は、身体が柔軟でなくなるため、全身をしっかりと毛づくろいするのが難しくなり、結果としてフケが増える場合があります。

また、健康状態の悪化や病気によって毛づくろいの頻度が減る場合も多いです。

例えば、関節炎や口内の問題があると、毛づくろいに痛みが伴うため、毛づくろいを避けるようになります。

恐怖やストレスを感じている

次に、猫のフケが多くなる病気以外の原因は、恐怖やストレスを感じているからです。

猫は非常に敏感な動物であり、環境の変化や騒音、新しいペットなど、さまざまな要因がストレスの原因となります。

ストレスを感じた猫は、通常の行動パターンが乱れ、過剰な毛づくろいをしたり、逆に毛づくろいを全くしなくなったりするのです。

また、ストレスホルモンが分泌されると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥やかゆみを引き起こしやすくなります。

さらに、ストレスが持続すると免疫機能も低下し、感染症やアレルギーのリスクが高まるのです。

飼い主は、猫のストレスの原因を特定し、できるだけ取り除きましょう。

皮膚が乾燥している

3つ目に、猫のフケが多くなる病気以外の原因は、猫の皮膚が乾燥しているからです。

皮膚が乾燥すると角質層が剥がれやすくなり、フケとして現れやすくなります。乾燥の原因は、季節的な要因や室内環境などです。

具体的には、冬場やエアコンの使用が多い季節には、室内の湿度が低下し、猫の皮膚も乾燥しやすくなります。

また、過度なシャンプーや不適切なシャンプーの使用も皮膚の乾燥を引き起こす原因になる場合が多いです。

猫の皮膚はデリケートであり、人間用のシャンプーや過剰な洗浄は皮膚の保護バリアを破壊する恐れがあります。

皮膚の乾燥を防ぐためには、室内の湿度を適切に保つことが重要です。

栄養状態が悪い

最後に、猫のフケが多くなる病気以外の原因は、猫の栄養状態が悪いからです。

特に皮膚と被毛の健康に重要な栄養素が不足していると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥やかゆみが発生しやすくなります。

例えば、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸は、皮膚の健康維持に欠かせない成分です。オメガ3脂肪酸が不足すると、皮膚が乾燥しやすくなり、フケが増える原因となります。

また、ビタミンやミネラルも皮膚の健康にとって重要です。

猫の食事が偏っている場合や質の低いフードを与えている場合、栄養素が不足しやすくなるので、バランスの取れた食事を提供しましょう。

猫のフケが多い時に考えられる病気

次に、猫のフケが多い時に考えられる病気を紹介します。

  • アレルギー性皮膚炎
  • 皮膚糸状菌による皮膚炎
  • 寄生虫による皮膚炎

それぞれ詳しく紹介するので、病気の兆候がみられる時はすぐに病院に連れて行きましょう。

アレルギー性皮膚炎

まず、猫のフケが多い時に考えられる病気はアレルギー性皮膚炎です。

アレルギー性皮膚炎は、特定のアレルゲンに対する免疫反応が過剰に働いて皮膚に炎症が生じます。

アレルゲンは食物や環境、寄生虫などさまざまなものがあり、全ての猫が同じアレルギーを持ってはいません。

例えば、特定の食材に対するアレルギー反応や、ハウスダストや花粉などの環境アレルゲンが原因となる場合があります。

アレルギー性皮膚炎の症状は、かゆみや赤み、湿疹、脱毛などです。猫が頻繁に体を掻いたり舐めたりすると、皮膚のバリア機能が低下し、フケが増えるようになります。

症状が見られる場合、早期に獣医師の診察を受け、適切な治療を受けましょう。

皮膚糸状菌による皮膚炎

次に、猫のフケが多い時に考えられる病気は皮膚糸状菌による皮膚炎です。

皮膚糸状菌は、皮膚や被毛、爪に感染する恐れがあります。皮膚糸状菌による皮膚炎は非常に感染力が強く、他の動物や人間にも感染するため、早期の発見と治療が重要です。

皮膚糸状菌による皮膚炎の症状としては、円形の脱毛や赤み、かさぶた、フケの増加などがみられます。

感染部位はかゆみを伴うことが多く、猫が頻繁に掻いたり舐めたりすることで、症状が悪化する場合が多いです。

そして、皮膚が乾燥しやすくなり、フケが目立つようになります。特に子猫や免疫力の低い猫では、症状が重くなる傾向が強いです。

寄生虫による皮膚炎

最後に、猫のフケが多い時に考えられる病気は寄生虫による皮膚炎です。

  • ネコノミ
  • ネコハジラミ
  • ネコツメダニ
  • ネコショウセンコウヒゼンダニ

それぞれの特徴を紹介するので、詳しくみていきましょう。

ネコノミ

まず、猫の皮膚炎を引き起こす寄生虫はネコノミです。

ネコノミは猫の血液を吸って栄養を摂取し、強いかゆみや皮膚炎を引き起こします。

そして、猫がかゆみで頻繁に掻いたり舐めたりするため、皮膚が傷つき、フケが多くなるのです。

また、ネコノミの唾液に対するアレルギー反応が起こると、アレルギー性皮膚炎を引き起こし、症状がさらに悪化します。

ネコノミの症状は、かゆみや赤み、脱毛、皮膚のかさぶたやフケの増加などです。

ネコノミの成虫は目に見える場合が多いですが、卵や幼虫は非常に小さく、見つけにくいため、見逃される場合が多くあります。

ネコハジラミ

次に、猫の皮膚炎を引き起こす寄生虫はネコハジラミです。

ネコハジラミは、猫の皮膚や被毛にしがみつき、角質や皮脂を食べて生息します。

ネコハジラミは、特に若い猫や野良猫に多く見られ、強いかゆみや皮膚の炎症を引き起こすのです。

猫が頻繁に掻いたり舐めたりすると、皮膚が傷つき、フケが増えていきます。ネコハジラミの症状は、かゆみや赤み、脱毛、フケの増加などです。

ネコハジラミの成虫は非常に大きく、肉眼で確認できます。

ネコツメダニ

3つ目に、猫の皮膚炎を引き起こす寄生虫はネコツメダニです。

ネコツメダニは、猫の皮膚の表面に付着し、角質や皮脂を食べて生活します。

ネコツメダニが寄生すると、猫は強いかゆみや不快感を感じるため、頻繁に掻いたり舐めたりするようになる場合が多いです。そして、皮膚が傷つき、フケが増えていきます。

ネコツメダニの症状は、かゆみや赤み、脱毛、フケの増加などです。

ネコツメダニもサイズが大きく、動いている様子を視認できるので「歩くフケ」とも呼ばれます。

ネコショウセンコウヒゼンダニ

最後に、猫の皮膚炎を引き起こす寄生虫はネコショウセンコウヒゼンダニです。

このダニが引き起こす皮膚症状を疥癬(かいせん)と呼びます。

ネコショウセンコウヒゼンダニは、皮膚にトンネルを掘って寄生し、強いかゆみや炎症を引き起こします。

ネコショウセンコウヒゼンダニの寄生により、猫は頻繁に掻いたり舐めたりするため、皮膚が傷つき、フケが増えるのです。

ネコショウセンコウヒゼンダニの症状はかゆみや赤み、脱毛、フケの増加、皮膚のかさぶたなどがあります。

猫が激しく掻くと二次感染が発生し、症状がさらに悪化する場合もあるので注意が必要です。

猫のフケを予防する方法

次に、猫のフケを予防する方法を紹介します。

  • ブラッシングをする
  • 定期的に保湿をする
  • シャンプーをする
  • 生活環境を整える
  • 食事を改善する

それぞれ詳しく紹介するので、日頃からフケを予防するために実践してください。

ブラッシングをする

まず、猫のフケを予防するために、定期的にブラッシングしましょう。

ブラッシングには、古くなった皮膚の角質細胞や抜け毛を取り除き、皮膚の血行を促進する効果があります。

また、毛の絡まりやもつれを防ぎ、被毛を健康で艶やかに保つことが可能です。

特に長毛種の猫は、毛が絡まりやすく、フケがたまりやすいので、日常的にブラッシングを行ってください。

ブラッシングをする際は、猫の毛質に合ったブラシを選ぶことが重要です。

また、ブラッシングは優しく行い、猫がリラックスできる時間を選ぶと良いでしょう。無理にブラッシングをすると、猫にストレスを与えてしまう恐れがあります。

定期的に保湿をする

次に、猫のフケを予防するためには、定期的に保湿しましょう。

特に乾燥しやすい季節や室内環境では、猫の皮膚が乾燥しやすく、フケが増える原因となります。保湿を行うと、皮膚の乾燥を防ぎ、健康な状態を維持できるのです。

猫の皮膚を保湿する方法としては、一般的に保湿スプレーや保湿クリームを使用します。

保湿スプレーや保湿クリームは、猫専用のものを選ぶことが重要であり、人間用の製品を使用すると皮膚に刺激を与える恐れがあるのです。

また、皮膚の乾燥を防ぐためは室内の湿度を適切に保ちましょう。

特に冬場やエアコンを多用する季節には、室内の湿度が低下しやすいため、加湿器の使用が推奨されます。

シャンプーをする

3つ目に、猫のフケを予防するためには、定期的にシャンプーをしましょう。

ただし、猫のシャンプーは頻繁に行う必要はなく、月に1回程度が目安とされています。

シャンプーの目的は、皮膚や被毛に付着した汚れや古い角質細胞を取り除き、皮膚の健康を保つことです。

シャンプーを行う際には、猫専用のシャンプーを使用しましょう。人間用のシャンプーは猫の皮膚に刺激が強すぎるため、適していません。

猫専用のシャンプーは、皮膚に優しく、保湿成分が含まれているものが多いため、猫の皮膚と被毛を健康に保つ効果があります。

シャンプーをする際は、ブラッシングを行って抜け毛や絡まりを取り除き、ぬるま湯を使って猫の体を濡らし、優しくマッサージするように洗いましょう。

生活環境を整える

4つ目に、猫のフケを予防するためには、生活環境を整えましょう。

猫の生活環境が清潔で快適であることは、皮膚の健康を維持し、フケの発生を抑えるために不可欠です。

まず、猫の寝床や使用する道具を定期的に掃除し、清潔に保ちましょう。特に寝床やクッションは、毛やフケが溜まりやすいため、こまめに洗濯することが重要です。

また、猫のストレスを軽減することも、フケの予防に繋がります。猫は環境の変化に敏感であり、ストレスを感じると皮膚の状態が悪化するのです。

そのため、猫が安心して過ごせる環境を提供し、定期的に遊んだりスキンシップをとったりして、ストレスを軽減しましょう。

生活環境を整えると、猫の皮膚の健康を維持し、フケの発生を効果的に予防できます。

食事を改善する

最後に、猫のフケを予防するためには、食事も改善しましょう。

皮膚と被毛の健康には、適切な栄養素が不可欠です。特に、オメガ3脂肪酸は、皮膚のバリア機能を強化し、乾燥や炎症を防ぐ効果があります。

また、ビタミンやミネラルも皮膚の健康に重要です。ビタミンAやビタミンEは抗酸化作用があり、皮膚の健康をサポートしてくれます。

さらに、亜鉛などのミネラルは、皮膚の新陳代謝をサポートし、健康な被毛の維持に効果的です。

食事を改善する場合、高品質なキャットフードを選んで、栄養バランスを整えましょう。

市販のキャットフードでも、皮膚と被毛の健康をサポートする成分が含まれているものがあります。

まとめ

猫のフケは古くなった皮膚の角質細胞であり、少量のフケの場合は問題ありません。

猫のフケが多い時は、毛づくろい頻度の減少や、ストレス、皮膚の乾燥、栄養状態の悪化が考えられます。

また、フケが過剰な場合はアレルギー性皮膚炎や、皮膚糸状菌による皮膚炎、寄生虫による皮膚炎の可能性があるので注意が必要です。

猫のフケを予防するには、ブラッシングや定期的な保湿、シャンプー、生活環境や食事の改善を行い、猫の健康をサポートしましょう。

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