健康

【獣医師監修】猫のよだれは病気?心配ない場合と病気の可能性について詳しく解説

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はじめに

猫のよだれが健康的に問題があるか気になる方は多いと思います。

猫がよだれを垂らしていても、一概に病気とは限りません。しかし、症状によっては病気の可能性もあるので注意が必要です。

今回は、猫のよだれについて詳しく紹介します。

心配ない場合と病気の可能性について詳しく解説するので、猫のよだれが見られた時に問題があるか判断できるようになりましょう。

猫はよくよだれを垂らす?

猫は日常的にはあまりよだれを垂らしません。猫がよだれを垂らす仕組みについて詳しくチェックしてください。

猫が日常的によだれを垂らすことはほとんどない

猫が日常的によだれを垂らすことはほとんどありません。

猫の唾液は食事の消化や口腔内の清潔さを保つために重要な役割を果たしていますが、通常は飲み込まれるため、外部に垂れないのです。

ただし、猫がリラックスしているときや、逆に極度に興奮しているときに一時的によだれを垂らす場合があります。

猫のよだれは一時的なものであり、通常は短時間で収まる場合が多いです。ただ、猫が頻繁によだれを垂らしたり突然よだれを垂らしたりする場合は病気の可能性があります。

よだれを垂らしていても病気とは限らない

猫がよだれを垂らしている場合でも、必ずしも病気の兆候とは限りません。前述の通り、猫はリラックスしているときや興奮しているときに一時的によだれを垂らす場合があります。

また、猫は好きな食べ物や匂いに対して敏感に反応し、よだれを垂らしやすいです。一方で、猫がよだれを垂らし続ける場合や異常な症状を伴っている場合は注意しましょう。

例えば、口の中に炎症が見られる場合、または猫が食欲を失ったり元気がなかったりする場合は、何らかの健康問題が潜んでいる可能性があります。

病気ではないときのよだれの原因

次に、猫が病気ではないときのよだれの原因を紹介します。

  • 興奮しているとき
  • 緊張しているとき
  • リラックスしているとき
  • お腹が空いたとき

それぞれ詳しく紹介するので、猫の状態が当てはまらないかチェックしましょう。

興奮しているとき

まず、猫は興奮しているときに一時的によだれを垂らす場合があります。

興奮の原因は様々ですが、新しいおもちゃを見つけたときや、獲物を追いかけているとき、あるいは食事の時間が近づいているときなどです。

特に狩猟本能が刺激される状況では、猫は非常に興奮して自律神経系が影響を受け、唾液の分泌が一時的に増加してよだれを垂らす場合があります。

また、遊びの時間にも猫は興奮してよだれを垂らしやすいです。例えば、飼い主と一緒に遊んでいるときや他の猫と追いかけっこをしているとき、猫は高揚感を感じます。

緊張しているとき

次に、猫はストレスや緊張を感じたときにもよだれを垂らす場合があります。緊張の原因は動物病院に連れて行かれたときや、大きな音が聞こえたときなど様々です。

猫は非常に敏感な動物であり、環境の変化や予期しない出来事に対して強い反応を示す場合があります。結果として、自律神経が刺激され、唾液の分泌が増えるのです。

さらに、緊張や不安が原因で猫がよだれを垂らす場合、過剰なグルーミングなどの他の行動も見られる場合があります。

リラックスしているとき

3つ目に、猫が非常にリラックスしているときにもよだれを垂らす場合があります。リラックスしているときに見られるよだれは、猫が深い満足感や安心感を感じている証拠です。

例えば、飼い主に撫でられているときや、お気に入りの場所でうたた寝をしているときに、猫がよだれを垂らす場合があります。

リラックスしているときのよだれは、猫が安心しきっているために唾液の分泌が増加する結果です。特にシニア猫や健康な成猫によく見られます。

お腹が空いたとき

最後に、猫がお腹が空いているときにもよだれを垂らす場合があります。食事の時間が近づいているときや、飼い主が食事の準備をしているときに見られる現象です。

猫は食事の匂いや音に非常に敏感であり、食事に対する刺激が唾液の分泌を促進する場合があります。

例えば、キャットフードの袋を開ける音や、食器を用意する音を聞いたとき、猫は興奮してよだれを垂らしやすいです。

また、新しい食べ物や特別なおやつを与える際にも、猫がよだれを垂らす場合があります。

猫のよだれの原因になる病気は?

次に、猫のよだれの原因になる病気を紹介します。それぞれ病気の特徴や症状をまとめているので、病気が疑われるかチェックしましょう。

中毒

まず、猫のよだれの原因になる病気は中毒です。中毒の原因は様々で、花や観葉植物、家庭用洗剤や殺虫剤、人間の薬などが挙げられます。

また、特定の食べ物、具体的にはチョコレートや玉ねぎ、ニンニクなども猫にとって有毒です。

中毒の症状としては、よだれの増加だけでなく、嘔吐や下痢、ふらつき、けいれん、呼吸困難などが見られる場合があります。

猫が中毒を疑われる場合は、すぐに獣医師に相談することが重要です。

熱中症

次に、猫のよだれの原因になる病気は熱中症です。猫は暑さに弱く、高温多湿の環境で熱中症になる場合があります。

特に夏場や換気の悪い室内での長時間の滞在は、猫にとって危険です。熱中症の初期症状は、よだれの増加や浅い呼吸、ぐったりする、元気がなくなるなどが見られます。

症状が進行すると、意識の混濁やけいれん、嘔吐、下痢などが現れ、最悪の場合は命に関わるのです。

猫が熱中症にかかった場合、直ちに涼しい場所に移動させましょう。また、湿らせたタオルで体を冷やすなどの応急処置を行いながら、速やかに獣医師に連絡することが必要です。

やけど

次に、猫のよだれの原因になる病気はやけどです。猫が熱い物や化学物質に触れた場合、やけどを負う場合があります。

やけどは皮膚だけでなく、口内や消化管にも発生する可能性があり、痛みを伴う場合が多いです。そして、痛みや炎症で口腔内の正常な機能が阻害され、よだれが増加します。

やけどの初期症状は、皮膚の赤みや腫れ、水ぶくれなどです。口内やけどの原因は、熱い食べ物や飲み物、あるいは化学物質の誤飲などがあります。

猫がやけどした場合は、冷たい水や氷を使って応急処置を行い、速やかに獣医師の診察を受けましょう。

口内炎

次に、猫のよだれの原因になる病気は口内炎です。口内炎は猫の口腔内の粘膜が炎症を起こす病気で、痛みを伴います。

猫が口内炎にかかると、口の中が痛んで食欲が低下し、よだれが増える場合が多いです。口内炎の原因はウイルス感染や細菌感染、歯周病、免疫異常などが考えられます。

口内炎の初期症状は、口の中の赤みや腫れ、潰瘍などです。また、猫が食事を避けたり、口をしきりに触ったりする行動も見られます。

歯肉炎

次に、猫のよだれの原因になる病気は歯肉炎です。歯肉炎は猫の歯茎が炎症を起こす病気で、放置すると歯周炎に進行する場合があります。

歯肉炎にかかった猫は、口の中に痛みを感じ、よだれが増えやすいです。歯肉炎の主な原因は、ウイルスや細菌感染が考えられます。

また、歯肉炎を引き起こす歯垢は細菌の塊であり、適切な歯磨きが行われないと歯石に変わるのです。

歯肉炎の初期症状は、歯茎の赤みや腫れ、出血が見られます。猫が食事を避けたり、口を触られるのを嫌がる場合も多いです。

歯周病

次に、猫のよだれの原因になる病気は歯周病です。歯周病は、歯を支える組織が炎症を起こし、進行すると歯が抜け落ちる場合もあります。

歯周病にかかった猫は、口の中に強い痛みを感じ、よだれが増えて口臭がひどくなるのです。

歯周病の主な原因は、歯周病原因菌による歯垢・歯石の蓄積が考えられます。そして、歯茎が炎症を起こし、歯を支える骨や組織が破壊されていくのです。

歯周病の初期症状は、歯茎の赤みや腫れ、出血が見られます。進行すると、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちることもあるので注意が必要です。

口腔内腫瘍

次に、猫のよだれの原因になる病気は口腔内腫瘍です。口腔内腫瘍は、猫の口の中にできる腫瘍で、良性のものから悪性のものまであります。

猫が口腔内腫瘍を患うと、よだれが増えるほか、口の中の異常な出血や痛み、食欲不振などが見られる場合が多いです。

口腔内腫瘍の原因ははっきりとは分かっていません。

唾液腺疾患

次に、猫のよだれの原因になる病気は唾液腺疾患です。唾液腺疾患は、猫の唾液を分泌する腺に異常が生じて発症します。

唾液腺の炎症や閉塞、腫瘍などが原因となり、猫はよだれを垂らすのです。唾液腺疾患の症状は、よだれの増加のほか、口の中や顔の腫れ、痛み、飲み込みづらさなどが見られます。

唾液腺疾患は、感染症や外傷、自己免疫疾患などが原因と考えられています。

食道疾患

次に、猫のよだれの原因になる病気は食道疾患です。

食道疾患は食道に異常が生じて起こり、食道の炎症や腫瘍、神経異常などが原因で、食物の飲み込みが難しくなり、よだれが増えます。

食道疾患の症状は、よだれの増加のほか、嘔吐や食欲不振、体重減少などです。

食道疾患を予防するには、食べ物の質や量を適切に管理し、異物を誤飲しないように注意を払いましょう。

消化管疾患

次に、猫のよだれの原因になる病気は消化器疾患です。消化管疾患は、胃や腸などの消化器官に異常が生じて猫はよだれを垂らします。

消化管疾患の症状は、よだれの増加のほか、嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少などです。

消化管疾患を予防するためには、猫の食事管理を徹底しましょう。

腎機能不全

次に、猫のよだれの原因になる病気は腎機能不全です。腎臓は体内の老廃物を排出し、体液のバランスを保つ役割を果たしています。

腎機能不全の症状は、よだれの増加のほか、多尿や多飲、食欲不振、体重減少、嘔吐などが見られます。

腎機能不全を予防するためには、バランスの取れた食事を提供し、水分摂取を促しましょう。

肝機能不全

次に、猫のよだれの原因になる病気は肝機能不全です。

肝臓は体内の毒素を解毒し、栄養素の代謝や貯蔵を行う重要な臓器であり、肝機能が低下すると体内に毒素が蓄積してしまいます。

肝機能不全の症状は、よだれの増加のほか、食欲不振や体重減少、嘔吐、黄疸などです。

肝機能不全を予防するには、バランスの取れた食事を提供し、適切な栄養素を摂取させましょう。

てんかん

次に、猫のよだれの原因になる病気はてんかんです。てんかんは、猫の脳内での異常な活動によって発生する神経疾患であり、よだれが増加します。

てんかん発作は突然始まり、数秒から数分間続く場合が多いです。発作の間、猫は意識を失ったり、けいれんを起こしたりします。

てんかんの原因は多岐にわたり、遺伝的要因や頭部の外傷、感染症、腫瘍、中毒などです。

てんかんの発作が頻繁に起こる場合、発作中の安全を確保するため、発作が起こりやすい環境を避け、発作中に怪我をしないように配慮しましょう。

脳神経異常

最後に、猫のよだれの原因になる病気は脳神経異常です。脳神経異常の原因は、感染症や腫瘍、外傷、先天的な異常などがあります。

脳神経異常が発生すると、神経伝達が正常に行われなくなり、よだれの増加やその他の神経症状が現れるのです。

脳神経異常の症状は、運動失調や行動の変化、視覚や聴覚の障害、けいれんなどがあります。症状は、脳神経異常の部位や程度によって異なる場合が多いです。

例えば、前庭疾患では平衡感覚が失われ、頭が傾いたり、旋回運動が見られたりします。

猫のよだれで病院に連れて行った方が良い症状は?

次に、猫のよだれで病院に連れて行った方が良い症状を紹介します。

  • よだれがなかなか止まらない
  • 口を開けたままよだれを垂らしている
  • よだれが泡状になっている
  • よだれ以外の症状がある

それぞれ詳しく紹介するので、よだれが出ているときは合わせて症状が出ていないかチェックしてください。

よだれがなかなか止まらない

まず、猫のよだれがなかなか止まらない場合は、何らかの健康問題が隠れている可能性があるため、速やかに獣医師に相談しましょう。

正常な状態では、猫は過度によだれを垂らすことはありません。よだれが長時間にわたって止まらない場合、何らかの異常の兆候と考えられます。

よだれが止まらない原因は、口腔内の感染症や炎症、腫瘍、消化器系の異常、神経系の問題などです。

例えば、口内炎や歯肉炎などの口腔内の問題があると、痛みや不快感からよだれが増えやすくなります。

口を開けたままよだれを垂らしている

次に、猫が口を開けたままよだれを垂らしている場合、健康問題を示唆している可能性が高いです。

正常な状態では、猫は口を閉じたままで、よだれも適度にコントロールされています。しかし、口を開けたままよだれを垂らす状態が続く場合、異常が考えられるのです。

症状の原因は、口腔内の痛みや不快感、神経系の障害、咽喉や食道の問題などが考えられます。

口を開けたままよだれを垂らしている状態は、猫にとって非常に不快であり、早急な診断と治療が必要です。

よだれが泡状になっている

3つ目に、猫のよだれが泡状になっている場合は、通常のよだれとは異なる異常な状態です。泡状のよだれは、消化器系の問題や中毒、重篤な病気の兆候である可能性があります。

泡状のよだれの原因は、消化不良や胃腸の炎症、中毒、重篤な感染症などです。例えば、消化不良や胃の不快感があると、唾液が泡立つ場合があります。

また、何らかの毒物を摂取した場合、泡状のよだれが見られやすいです。泡状のよだれは、猫にとって深刻な状態の可能性が高いため、早急な診断と治療を受けましょう。

よだれ以外の症状がある

最後に、猫のよだれとともに他の症状が見られる場合は、深刻な健康問題が隠れている可能性が高いです。

例えば、よだれと一緒に嘔吐や下痢、体重減少、元気の消失、行動の変化などが見られる場合は、速やかな対応が必要になります。

よだれ以外の原因は、消化器系の疾患や中毒、感染症、内臓疾患、神経系の異常などです。例えば、胃腸の炎症や感染があると、よだれとともに嘔吐や下痢が見られます。

よだれ以外の症状が見られる場合は、猫の健康に重大な影響を与えている可能性が高いので、早期の診断と治療を受けましょう。

まとめ

今回は、猫のよだれについて詳しく紹介しました。

猫のよだれは日常的にほとんどみられず、一概に病気とは限りません。しかし、猫のよだれは口腔内の疾患や消化器系の疾患、神経系の異常の場合があります。

そのため、猫のよだれがなかなか止まらなかったり、口を開けたままよだれを垂らしたりする場合はすぐに病院に連れていきましょう。

また、泡状のよだれやよだれ以外の症状にも注意が必要です。猫のよだれから猫の状態をチェックし、健康をサポートしましょう。

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