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はじめに
猫が急に呼吸を苦しそうにしだしたら、猫喘息になっている可能性があります。
猫喘息とは、人の喘息と同じように何かしらのアレルゲンやストレスなどが原因で気管支に炎症を起こしたり、空気の通り道である気道が狭くなって呼吸困難が起こる病気です。
喘息の症状が起きるのは免疫機構に関係しているため、症状が出る猫と出ない猫が存在しており、検査をしないと詳細はわかりません。
今回は猫喘息で起こりうる症状や原因、猫喘息になってしまった場合の治療法を解説します。
どんな猫も喘息を発症する可能性があるので、急に症状が出てしまっても冷静に対応できるように確認してください。
猫の喘息とは
猫の喘息とは、突然の呼吸困難に陥る慢性気管支疾患です。
呼吸をする時の空気の通り道である気道が、何かしらのアレルギーやストレスなどが原因で過敏に反応し、呼吸器官に炎症を起こして気道が狭くなるため呼吸困難が起こっています。
症状は徐々に進行していくので放っておくのは大変危険です。
肺や気管支で起こる症状は初めのうちは元に戻る可能性もありますが、慢性的になると症状が元に戻らないこともあります。
気圧や気温などにも関係しているので、愛猫に喘息の症状が出た場合は早急に治療を開始しましょう。
猫喘息は様々な年齢で発症しますが、比較的成猫期に多いです。
2〜3歳に発症すると重症化しやすく、4〜8歳頃は軽度〜中度の症状が出やすい特徴があります。
猫の喘息の主な症状は?
猫の喘息の初期症状では喉の違和感から舌舐めずりをしたり、咳をしそうになる、痰を飲み込むなどの症状が見られます。
風邪によく似た症状ですが、熱が出ないところが特徴です。
しかし、そのまま放っておくと進行する可能性があり危険なので、愛猫に症状が見られる場合は早急に動物病院へ連れて行き適切な治療を受ける必要があります。
主な症状を解説するので参考にしてください。
喘鳴が聞こえる
喘鳴とは、呼吸をする時にゼーゼー・ヒューヒューと音がすることです。
空気の通り道である気管や気管支が狭くなってしまった時に、無理やり空気が通るため喉が笛のように鳴ります。
聴診器などを当てなくても聞こえるため、呼吸の異常に気付きやすいです。
しかし、中には喘息ではなく喉に痰が詰まっていたり鼻詰まりの音の場合があり、音が似ているので勘違いする可能性もあります。
その場合は、治療法や薬が変わるので注意が必要です。
呼吸回数が多くなる
猫に喘息の症状が出ている場合は、呼吸回数が速くなる特徴があります。
正常な呼吸回数は、普段起きている猫の場合は1分間に20〜40回程度、寝ている猫の場合は1分間に15〜25回程度です。
遊びや運動後、興奮している時の呼吸以外で呼吸回数が速くなっている時は注意してください。
呼吸回数を測る時は、猫が安静にしている状態か寝ている状態の時にしましょう。
猫の胸が上下した時に1回と数え、1分間あたりの呼吸回数を測ります。
正常な呼吸回数より明らかに多い場合は、呼吸が苦しい状態になるので、なるべく早く動物病院へ連れて行き適切な治療を受けてください。
断続的に繰り返し咳をする
猫が突然咳をし出したのに、継続的に咳を繰り返していたら喘息を疑いましょう。
咳は呼吸器官にある異物を外に出そうとするための防衛反応なので、無理やり止める必要はありません。
しかし、継続的に続く場合は呼吸ができず呼吸困難になる可能性があります。
また、咳が続くとかなり体力を奪われるので、衰弱していく可能性も高いです。
咳止めの薬や根本的な原因を排除するなど、早急に治療を開始するために、なるべく早く動物病院に連れて行きましょう。
口を開けて呼吸をする
猫が口を開けて呼吸をする時は、全ての猫にとって異常な状態です。
基本的に猫は鼻呼吸をするので口を開けている場合は、相当呼吸がしづらい状態であり危険なサインなので見落とさないでください。
口を開けて呼吸をしてなくても、肩で呼吸をしていたり、呼吸が速い時は口呼吸になる一歩手前の状態です。
口呼吸は最悪の場合、呼吸困難に繋がり命を落とす可能性もあるので、なるべくひどい状態になる前に気付いてあげましょう。
チアノーゼを起こす
チアノーゼとは、低酸素状態に陥っている時に見られる症状で、唇や舌が青白くなったり青紫になる状態のことを言います。
かなり重症な呼吸困難の症状なので、チアノーゼが見られた場合は早急に動物病院へ連れて行ってください。
少しでも放置してしまうと命を落とす確率が上がります。
すぐに治療してあげるのが大事なので、愛猫に元気のない様子が見られたらチアノーゼが出ていないかも確認しましょう。
猫の喘息を引き起こす主な原因は?
そもそも猫の喘息はアレルギーやストレス、感染症などで引き起こされます。
それぞれ原因となることを詳しく紹介していくのでチェックしてください。
喘息の治療は、まず原因特定が大事です。
考えられる原因から遠ざけてあげるためにも、まずは飼い主が理解しましょう。
アレルゲン
猫の喘息の原因として1番考えられるのがアレルギーです。
猫喘息になる可能性のあるアレルゲン物質 |
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アレルゲン物質は、呼吸で吸い込むものが多いのが特徴です。
中でもほこりやハウスダストが原因としては多く、部屋を清潔に保つことで改善する可能性があります。
匂いに敏感な猫はタバコの煙から、ヘアスプレーや香水もアレルゲンになる場合があるので注意が必要です。
なるべく愛猫が過ごす場所では、アレルゲンになる可能性のあるものの使用は控えましょう。
また、花粉など自然に入り込んでしまう物質が原因の場合は猫を室内飼いにすると良いです。
とはいえ、飼い主が出入りする際に室内に持ち込んでしまっては意味がないので、花粉の時期は特に服をよくはらったり、コロコロなどで取り除いてから帰宅するようにしましょう。
環境の変化やストレス
猫の喘息は、環境の変化やストレスから発症する可能性があります。
カーペットや家具を新調したり、新しい土地・家に引っ越しをするなどの環境の変化がある時は注意しましょう。
今まで関わらなかったアレルゲン物質に出会い、急に体が反応してしまう可能性があります。
ストレスも溜まりやすいので、なるべく愛猫が過ごすスペースの環境を変えないように配慮してあげましょう。
また、気圧の変化や気温の変化のある季節の変わり目なども喘息の症状が出やすいです。
なかなか気圧や気温の変化を感じさせない事は難しいですが、猫が過ごす部屋の室内の温度や湿度の調整には気を付けてください。
いつもと違う様子が見られたら、重症化する前に動物病院へ連れて行き専門の獣医に診てもらいましょう。
呼吸器感染症
猫の喘息は、呼吸器感染症を引き金に発症する可能性もあります。
代表的な呼吸器感染症 |
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どちらも気管に関係のある症状が出るので、ひどくなる前に治療を開始することが望ましいです。
もしも、喘息まで発展してしまったら長期的に治療が必要になるので早期発見・早期治療開始を心がけましょう。
猫の喘息の診断方法
猫の喘息は呼吸器系に異常が起こる症状ですが、他の病気の可能性も考えられます。
猫の喘息と似た症状が出る病気 |
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症状が似ていても、病気によって治療法は全く違うので注意が必要です。
猫の喘息を的確に診断するためには、様々な検査をする必要があります。
聴診などの身体検査
まず動物病院に連れて行ったら聴診を含めた身体検査を行います。
身体検査の項目 | 内容 |
体温 | 猫の平熱は38〜39度前後です。 発熱しているかで健康状態を判断できます。 |
体重 | 発育状態を知る上で体重測定は重要です。 減っている場合は食欲不振や病気の可能性、増えている場合は肥満防止など体重の変化で身体の異常に気付けます。 |
視診 | 獣医が身体の外観や被毛、目や耳、口の中などを目で確認します。 目視で身体の異常に気付くことが目的です。 |
触診 | 獣医が身体に触れて異常の有無を確認する診察です。 腫れやしこりがないか、お腹が張っていないか、触って痛がる部位はないかチェックします。 |
聴診 | 獣医が体に聴診器を当てて体内の音を聞く診察です。 心臓や肺に雑音が混ざっていないか、呼吸の音が異常でないかなどをチェックします。 |
身体検査は、基本的にどんな症状でも行う診察です。
上記の表の診察だけで病気を判断できることもありますが、原因特定のためにもっと精密な機械などを合わせて使うこともあります。
胸部X線検査
胸部X線検査は、放射線の一種であるX線を使って胸の中の状態を調べる検査です。
心臓の大きさ・形、気管・気管支・肺の状態などを確認します。
咳が出ている時や呼吸に異常が見られる時に、積極的に実施される検査です。
呼吸状態の異常が肺炎・肺水腫・心臓病など、猫喘息以外の原因からくるものではないかどうか調べます。
猫喘息かどうかを判断するために、非常に重要な役割を担う検査です。
その他にもX線検査は、レントゲン検査とも呼ばれており、胸部・腹部・四肢・臓器など全身の様々な部位を撮影できます。
全身状態の評価のため血液検査
身体の状態や病気の有無を知るためには、血液検査が有効です。
猫喘息の場合はアレルゲン物質が原因になっている場合もあるので、血液検査によって調べます。
血液生化学検査(肝臓・腎臓・血糖値など)と血球数算定(白血球・赤血球などの数を検査する)を行い、白血球の一種である好酸球数が増加していたらアレルギーが原因の可能性が高いです。
寄生虫の疾患でも上昇することがあるので、その他の検査結果と総合して判断します。
猫の喘息の治療法
猫の喘息の治療法は、内科療法と生活改善が中心となります。
どのような治療法があるのか、それぞれ解説するのでぜひ参考にしてください。
抗アレルギー薬
抗アレルギー薬は、アレルギーが原因のときに処方されます。
アレルギー物質による痒みや炎症などの症状を軽減させることが目的です。
薬の投与と並行してアレルゲンの排除も行います。
ステロイド治療
ステロイドの治療は、注射・経口薬・吸入の方法があり、炎症が起きている時に炎症を抑える目的で使用されます。
注射や経口薬は効き目が早く、猫喘息に対しての反応も良いです。
しかし、基礎疾患がある猫に対しては副作用が出る危険があります。
基礎疾患がある猫は、効き目がゆっくりですが副作用の出にくい吸入がおすすめです。
気管支拡張薬の投与
気管支拡張薬は、気管の炎症などが原因で空気の通り道が狭くなり呼吸がしづらくなっている時に使用されます。
循環器への影響は少ないですが、慢性的に呼吸困難の症状が続いている場合は内服薬を避けた方が良いです。
呼吸困難状態の場合は薬が詰まってしまう可能性もあるので、吸入で気管支拡張薬を投与する方法もあります。
ネブライザーや吸入
飲み薬を与えることが困難な猫の場合は、ネブライザーや吸入を用いた投薬方法もあります。
ネブライザーという吸入療法はダイレクトに呼吸器に薬を届けることができるため効果が高いです。
猫は自分で薬液を吸うことが難しいため、霧状の薬液が充満した部屋に入って治療します。
抗生剤の投与
抗生剤は、細菌感染が疑われる場合に処方されます。
ただし、どの病原菌に効くわけではなく、それぞれの菌によって効く抗生剤は様々です。
病原菌が特定できれば病原体に効く抗生剤を決められるので、まずは原因の特定が必要になります。
去痰薬の投与
去痰薬は、痰産生咳が多い場合に処方されます。
咳が続いて痰が出やすくなっている時は、詰まって苦しい思いをしている可能性が高いです。
生活環境の見直し
猫喘息の原因がわかったら、原因を排除する必要があります。
ほこりやハウスダストが原因の場合は、家の中の清掃状況を確認して改善しましょう。
猫は高いところにも登る習性があるので、目では見えない棚の上や置物の上にほこりが溜まっていないか、エアコンなどの掃除はできているかなどをチェックしてみてください。
芳香剤や香水などの強い匂いやタバコの煙も喘息の原因にもなり得るので、愛猫のスペース内で使用するのは控えましょう。
生活環境を見直せば徐々に症状が軽減されていく可能性も高いので、薬ばかりに頼らずに原因を排除することにも力を入れてあげてください。
長期的に喘息の症状を軽減させるには、アレルゲンに触れる機会を少なくすることが1番です。
例えアレルゲン物質が特定できなくても、まだ猫喘息を患っていない場合でもアレルゲンになりうる物質を生活内から排除することで予防にも繋がります。
アレルギーによる喘息の場合の予防法
猫の喘息の原因がアレルギーによるものなら、いくつか予防できる方法があります。
喘息の症状を少しでも軽減してあげるために、飼い主は予防してあげましょう。
方法を紹介するのでぜひ参考にしてください。
アレルゲンをできるだけ排除する
1番改善が見込まれる予防法は、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを排除することです。
猫の生活圏内からアレルゲン物質を遠ざけてあげましょう。
ほこりやハウスダストは、こまめな掃除とカビやダニの排除で改善できます。
愛猫がタバコの煙が苦手な場合は、違う部屋・換気扇・ベランダなどで吸うようにするなど、配慮してあげてください。
人にとっては良い香りのものでも、猫には刺激臭になってしまう可能性もあります。
香水や芳香剤など香りがキツイものは、猫の近くでは使わないのが望ましいです。
空気清浄機を使用する
ほこりやハウスダスト、花粉には空気清浄機を使うこともおすすめです。
掃除で取りきれなかったアレルゲンや、飼い主の外からの出入りで家の中に入ってしまった花粉も取り除けます。
また、呼吸器感染症は飛沫感染や接触感染でうつる可能性が高いです。
飛沫感染を防ぐためにも空気清浄機は役に立ちます。
猫は湿度にも敏感で常に50〜60%に保っておくことが理想です。
乾燥した状態ではアレルゲン物質も飛び散りやすく、体調不良の原因にもなります。
最近では加湿器と空気清浄機の機能を兼ね備えた商品もあるので、ご自宅の都合に合わせて選んでみてください。
呼吸器疾患を防ぐためにワクチン接種をする
喘息を含めた呼吸器疾患を予防するためには、ワクチン接種も有効です。
猫用のワクチンにも3種・5種・7種など様々な疾患を予防するためのワクチンが存在します。
身体の状態や生活環境によって必要なワクチンが違うので、気になる方は動物病院に相談しましょう。
喘息に繋がるような病気にならないためにも、ぜひワクチン接種を検討してみてください。
まとめ
今回は猫の喘息の症状・原因・治療法を紹介しました。
猫喘息の症状は、呼吸器系なので呼吸が苦しくなったり、重症化すると呼吸困難で命の危険に繋がる可能性もあります。
愛猫の喘息にかからないためにも、症状を軽減させるためにも飼い主は原因排除を心がけましょう。
アレルゲン物質の排除はもちろん、環境の変化やストレスで猫喘息が発症しないためにも、周りの環境を常に良い状態にしてあげてください。