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- はじめに
- 猫にビオフェルミンを与えても大丈夫?
- 猫にビオフェルミンを与えることで期待できる効果
- 猫にビオフェルミンを与える際に注意が必要なケース
- 猫にビオフェルミンを飲ませる方法
- 猫にビオフェルミンを与える時の注意点
- ビオフェルミン以外で猫の腸内環境を整える方法
- まとめ
はじめに
お腹の調子を整える整腸剤としてよく知られているビオフェルミンは、手軽に購入できるのでご家庭の常備薬として備えている方も多いのではないでしょうか。
ビオフェルミンに含まれている乳酸菌の力によって、便秘や下痢、軟便などに対してさまざまな効果が期待できます。
また、ビオフェルミンは生後3ヵ月より服用できることから、とても安全な医薬品だといえます。
そうなると、猫を飼っている方ならば「ビオフェルミンは猫に与えても大丈夫?」と気になる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
猫は、比較的便秘になりやすいため、ビオフェルミンを服用できれば便秘の改善に役立つことも考えられます。
その反対に、すぐにお腹を下してしまう体質の子もいるので、ビオフェルミンを与えることができれば下痢、軟便になりやすい愛猫の健康管理にぜひ活用したいところです。
今回は、人間の整腸剤であるビオフェルミンをはたして猫に与えても大丈夫なのか、また、猫に対して期待できる効果や注意点など詳しく解説いたします。
猫にビオフェルミンを与えても大丈夫?
最初に結論をいうと、いくつかの点に注意すれば猫にビオフェルミンを与えても大丈夫です。実際に、猫のお腹の調子を整えるためにビオフェルミンを処方している動物病院もあります。
ただし、人間が飲む場合と同じ用法、容量で飲むことはおすすめできません。
適切な量や回数に関しては、目安となる基準はありますが、与える前にかかりつけの獣医師に確認してみるとよいでしょう。
猫にビオフェルミンを与えることで期待できる効果
猫にビオフェルミンを与えることで、どのような効果が期待できるのかみていきましょう。
3つの乳酸菌で腸内環境を整える
ビオフェルミンの有効成分はビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌という3つの乳酸菌です。
ビフィズス菌は、おもに大腸に住みつき乳酸と酢酸を作り整腸効果を高め、フェーカリス菌やアシドフィルス菌は主に小腸に住みつき、乱れた腸内環境を整えつつ悪玉菌の繁殖を抑制する役割を果たしています。
ビオフェルミンは、猫に多くみられる腎不全の治療に処方されることがありますが、3つの乳酸菌を摂取することで、体内の善玉菌を増やし腎臓に負担をかける悪玉菌を減らす効果が期待できます。
便秘の改善
人間の便秘の基準は一般的に3日以上排便がない場合や、残便感が残る状態を言いますが、猫の場合では、毎日の排便がないことが頻繁に続くようであれば、便秘と考えてよいかもしれません。
ビオフェルミンは、このような慢性的な便秘症状に効果があるとされていますが、通常の便秘薬や下剤のような即効性のあるものではありません。
整腸剤に分類されるビオフェルミンは、腸内環境を少しずつ改善させるためのものであり、飲み続けることで、乳酸菌を腸内で増殖させ、悪玉菌の増殖や侵入を防ぐことで日頃からお腹の調子を整えることができるようになります。
一方便秘薬は、排便作用を促すものであり、便秘の解消はできますが、便秘を根本的に解決するものではありません。
猫は飲水量が少なく、比較的便秘になりやすいため、腸内環境を健康に保ち便秘解消を目指すために、ビオフェルミンが効果的です。
下痢・軟便の改善
下痢や軟便に対してもビオフェルミンは効果があるといわれています。しかし、便秘と同様に即効性があるものではありません。
一定期間飲み続けることで、腸内環境が整い下痢や軟便を起こしにくくなるための薬だと考えておきましょう。
また、ウイルスやなんらかの病気が原因で下痢になっている場合には、整腸剤ではなく別の治療が必要になることが多いため、飼い主さんの自己判断でビオフェルミンを服用させるのではなく、動物病院を受診して医師の適切な指示のもと必要な治療をおこなってください。
猫にビオフェルミンを与える際に注意が必要なケース
猫にビオフェルミンを与えることは問題ありませんが、当然注意が必要なケースがあります。
基本的な考え方として、猫にビオフェルミンを与えてもよいケースとはなんらかの病気が隠れていないようなときに限ります。
例えば、少し食事の内容が変わるとお腹を壊してしまう子や、日常的に便秘気味で、便の回数が少ない子などの症状を改善するために継続的に与えるのはよいとされています。
もともと人間のための整腸剤であるため、体の小さい猫と人間では適切な量が異なります。
大切な愛猫にビオフェルミンを与える前に、これからご紹介する注意点をきちんと把握しておきましょう。
重度の下痢や便秘を起こしている場合
ビオフェルミンは下痢や便秘に効果があることをご紹介しました。しかし、あくまで腸内環境を整えて徐々にお腹の調子を良くしていくためのものであり、即効性はありません。
また、重度の下痢や便秘を起こしている場合には、まずその症状を改善しなければなりません。そのような場合には、病院を受診して症状を改善させるための治療をおこなわなければなりませんし、なにか病気が原因の可能性もあります。
病院で治療をおこない、症状に改善がみられたあとに、調子を崩していた腸の働きを正常に戻すためにビオフェルミンを服用することはありますが、まずは重度の下痢や便秘を解消するために病院を受診してください。
抗生物質を服用中の場合
ビオフェルミンは種類によって抗生物質に耐性のないものがあります。猫によく処方される「ビオフェルミンS」に含まれる乳酸菌は抗生物質に耐性がなく死滅してしまうため、抗生物質を一緒に服用しても整腸効果が期待できません。
このような場合には、抗生物質を処方している獣医師に相談して服用すべきか検討してください。
すでに他の薬を使用している場合
すでになんらかの薬を服用している場合にも注意が必要です。
慢性的な持病でほかの薬を飲み続けている、病気により医師から薬を処方されているなどのケースでは、ビオフェルミンを服用してしまい、他の薬の効果をなくしてしまう可能性も考えられます。
その反対に、ビオフェルミンの乳酸菌を死滅させることもあり整腸効果が消えてしまうこともあります。
処方されている薬に整腸作用が含まれていたら、ビオフェルミンの摂取により効果が重複してしまい、かえって猫の体調が崩れてしまうことも考えられます。
そのため、他の薬を服用している場合には、まずは獣医師に相談してください。
下痢や便秘以外にも症状がある場合
ビオフェルミンはあくまで整腸剤です。下痢や便秘に効果が期待できますが、即効性はなく、どちらかといえば慢性的な症状の改善に有効な薬と考えてください。
下痢や便秘がある場合でも、ほかの症状が出ている場合には、別の病気が原因で調子を崩していることもあり、治療が必要なケースがあります。
ぐったりして元気がない、嘔吐しているなど他の症状が出ている場合に、重篤な病気を見落とさないためにも、個人の判断でビオフェルミンを与えて様子をみることは避けたほうがよいでしょう。
猫にビオフェルミンを飲ませる方法
猫に薬を与える際に、飼い主さんを悩ませるのが、飲ませ方だと思います。なかなか薬を飲んでくれずに、苦労したこともあるのではないでしょうか。
ビオフェルミンには錠剤と粉末があり、それぞれ飲ませ方も異なります。どちらも効果には差はありませんが飲ませ方が少し異なるので解説します。
錠剤の場合
錠剤を与える場合、ご飯などに紛れ込ませて飲んでくれるようならば問題ありませんが、ほとんどの猫がそのままの形では簡単には飲んでくれません。
ご飯と一緒に与える場合でも、細かく砕いて混ぜて与えるのが効果的です。
錠剤を与える際にやってはいけない飲ませ方は、口の中に無理に薬を入れる飲ませ方です。
猫にとってストレスになり負担のかかる飲ませ方で、警戒心で強く抵抗してしまうことがあるので、無理に口に入れることはやめましょう。
粉末の場合
粉末の場合には、ご飯に混ぜてしまえば、さほど苦労することなく服用させることができるでしょう。
もし、ドライフードを与えていて、混ぜた途端に食べなくなってしまったら、ほんの少し味の濃いウェットフードを混ぜてあげることで食べてくれることがあります。
ただし、下痢などの症状がみられた場合には、かえって調子を崩すこともあるので体調をみながら与えてください。
猫にビオフェルミンを与える時の注意点
猫にビオフェルミンを与えることは大丈夫ですが、与え方には注意が必要です。ビオフェルミンを服用させる前に知っておくべき注意点について解説いたします。
乳酸菌以外の成分が入っていないビオフェルミンSを選ぶ
ビオフェルミンは1種類ではありません。ここで注意したいのが、猫に与えてもよいビオフェルミンとそうでないものがあるということです。
猫にビオフェルミンを与える場合には「ビオフェルミンS」を選びましょう。その理由は成分にあります。
ビオフェルミンSはビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌という3種類の乳酸菌でできているため、生後3ヵ月を過ぎた人間の赤ちゃんでも服用が可能な製品なので、猫に与えても問題ありません。
しかし、それ以外のビオフェルミンには乳酸菌以外の生薬が含まれており、猫の体調に悪影響を及ぼす可能性があるため与えてはいけません。
ビオフェルミンの商品名に「下痢止め」「便秘薬」などが付いているものは、同じビオフェルミンでも成分が異なります。
猫にビオフェルミンを与えるときは「ビオフェルミンS」を選んでください。
自己判断で与えると副作用の心配も
ビオフェルミンSならば、猫に与えても問題ありませんが、「下痢をしているのでビオフェルミンを飲ませてみよう」「近頃便秘気味だからビオフェルミンを飲ませて様子をみてみよう」といった自己判断をしてしまうことは危険なのでやめてください。
ビオフェルミンは腸内環境を整えるための薬であり、病気が原因の下痢や便秘に著しい効果が出ることはありません。
また、自己判断で与えることで、寄生虫やウイルス感染、その他の重篤な病気を見落としてしまうことも考えられます。
与え方と適切な量は獣医師に相談しよう
猫のお腹の調子が悪いときは自己判断せずに、動物病院を受診して必要に応じて与えた方がよいですが、一般的な与え方は、1日2回、食事に混ぜて与えることが多いようです。
適切な量に関しては、ビオフェルミンがもともと人間用の整腸剤であるため、猫の適量が明記されているわけではありませんが、量の目安としては実際に明記されている人間の子供の「生後3ヵ月~」の1/3gが目安となります。細粒のビオフェルミンならば、添付のサジで1杯分です。
これはあくまで目安であり、猫の大きさなどにより個体差がでることがあるので、与える前にまずは獣医師に相談してください。
ビオフェルミン以外で猫の腸内環境を整える方法
ビオフェルミンを与えることに少し抵抗がある飼い主さんもいるでしょう。そのような方に向けて、ビオフェルミン以外の腸内環境を改善する方法をご紹介します。
サプリメントを与える
ビオフェルミンは本来人間用なので、ドラッグストアなどで購入できる手軽さがありますが、同じように乳酸菌を多く含んだ猫専用のサプリメントも販売されています。
基本的には人間用と変わらず、乳酸菌が基本成分となり、無添加で猫のお腹の調子を整え、免疫機能を高めるためのサプリメントとなっています。
薬ではないため、食事などと一緒に継続的に服用することで効果が期待できます。
乳酸菌やビフィズス菌の入ったフードやおやつを与える
免疫力の向上が期待できる乳酸菌や、お腹の調子を整えるためのビフィズス菌を、毎日の食事やおやつで摂取する方法もあります。
乳酸菌を摂取すると、悪玉菌の抑制だけでなく、免疫細胞を刺激する役割も持っているため、免疫力を高めます。
また、ビフィズス菌を継続的に摂取すると、悪玉菌の繁殖を抑え、大腸のバリア機能が強化されるなど強力な整腸作用が期待できます。
整腸剤のように、食事に混ぜたり、別で飲ませたりする必要もなく毎日の食習慣を変えることで健康な腸内環境を作り出すことができるため、便秘や下痢になることの多い猫の場合には、フードやおやつを変えてみることを検討してみるのもよいでしょう。
定期的な運動で腸の動きを活発化させる
運動不足になると腸内の善玉菌が少なくなり、腸内環境が悪化するといわれています。反対に適度な運動は、自律神経にも良い影響を与え、腸内環境の活性化にもつながるといわれています。
室内飼いの猫はついつい運動不足になりがちなので、毎日おもちゃを使って運動させたり、キャットタワーを設置して昇り降りをさせたりするなど、定期的な運動によって活発な腸の働きを促すことができます。
適切な水分補給
猫はもともと水をあまり飲まないため、体内の水分が不足しがちです。水分不足により、便が硬くなり排便しにくい状況となるため、便秘になってしまう猫もいます。
やわらかく排出しやすい便を作るために適切な水分補給を心がけてあげてください。とはいえ猫は積極的に水を飲むことがあまりないため、食事から水分を摂取させるなどの工夫が必要です。
毎日の食事がドライフードならば、ウェットフードを足してあげることでも水分補給ができるので積極的に活用しましょう。
リラックスできる環境を整える
ストレスも自律神経の乱れなどにより腸内環境を悪化させることがあります。
猫はきれい好きで、環境の変化にもたいへん敏感です。例えばトイレの位置が変わっていたり、汚れが残っていたりすることで、強いストレスを感じて排便を我慢してしまうことがあります。
ほかにも、新しい猫など同居家族が増えたときや、引越しなどにより、安心できていた自分のテリトリーがなくなってしまった場合などにも、環境に慣れるまでの間は強いストレスを感じてしまい便秘や下痢になることがあります。
このような場合には、飼い主さんが積極的に介入してあげて、ストレスになっていると考えられる原因を排除してあげることが必要です。
猫の行動スペースを常に清潔に保ち、猫が落ち着いて過ごせる休息場所を確保してあげるなどすると、少しずつストレスの軽減が期待できます。
まとめ
人間の腸内環境を整えてくれるビオフェルミンは、乳酸菌のみが成分として使用されている「ビオフェルミンS」ならば猫に与えても大丈夫だとご紹介しました。
しかし、与え方には注意が必要であり、事前に獣医師に相談してから与えることが重要です。
適切にビオフェルミンを与えることで、便秘や軟便などの症状の改善が期待できますが、即効性があるわけではないので、継続的に与えるようにしましょう。
水分摂取量が少なく、ストレスを感じやすい猫は腸内環境が乱れがちです。症状を悪化させて大きな病気になる前に、猫の様子を観察して、必要に応じビオフェルミンの摂取を検討してみてはいかがでしょうか。