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【獣医師監修】生後9ヶ月の猫の体重と必要な餌の量とは?必要な栄養素や与えてはいけないものを解説

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はじめに

生後9ヶ月の猫はほぼ成長が完了している時期ですが、食事の種類や量をコントロールするのが難しいと感じる方は多いと思います。

飼い主は生後9ヶ月の猫の状態を理解して、適切な食事管理や健康管理をすることが大切です。

今回は、生後9ヶ月の猫の体重と必要な餌の量を紹介します。必要な栄養素や与えてはいけないものを解説するので、適切な育て方で猫の健康をサポートしましょう。

市販のキャットフードの種類

まず、市販のキャットフードの種類を紹介します。

  • 総合栄養食
  • 一般職(副食)
  • おやつ(間食)
  • 療法食

それぞれ詳しく紹介するので、キャットフードの違いを理解しましょう。

総合栄養食

総合栄養食は、猫の健康を維持するために必要なすべての栄養素をバランスよく含んでいるキャットフードの種類です。

猫の食事の基本となり、他に特別な栄養補給が不要なため、猫の健康を支えられます。

総合栄養食は、ドライフードやウエットフードの形があり、猫の好みに合わせて選ぶことが可能です。

特に、成長期の子猫から老猫まで、ライフステージに合わせた総合栄養食が用意されており、猫の年齢や健康状態に応じて適切なものを選びましょう。

一般食(副食)

一般食(副食)は、総合栄養食と比べて栄養バランスが整っておらず、メインの食事として与えるのは推奨されません。

一般食は主に食事にバリエーションを持たせたり、猫の嗜好に応じて味や食感を楽しませたりするために用いられます。

パウチや缶詰の形状のものが多く、食事に加えて風味を引き立てるのが主な役割です。

おやつ(間食)

おやつ(間食)は、猫のトレーニングやご褒美として使われるキャットフードです。

総合栄養食とは異なり栄養バランスは考慮されていないため、頻繁に与えることは避けましょう。与えすぎると肥満や栄養の偏りを引き起こす恐れがあります。

猫のおやつは種類が豊富で、かつお節やドライタイプのもの、歯のケアをサポートするデンタルおやつなど、用途に応じて選べるのが魅力です。

療法食

療法食は、特定の健康問題を持つ猫のために設計されたキャットフードです。

腎臓病やアレルギー、肥満など、猫の健康状態に応じて栄養バランスが調整されており、獣医の指導のもとで与えられます。

療法食には、腎臓の負担を軽減する低タンパク質フードや、皮膚の健康を保つためのアレルギー対応食など、種類が豊富です。

通常の食事とは異なり、病気の治療や症状の緩和を目的としているため、健康な猫には適していません。

総合栄養食とは?

次に、猫の総合栄養食について紹介します。総合栄養食はドライフードやウェットフードがあるので違いや保存方法を詳しくみていきましょう。

ドライフード

ドライフードは、総合栄養食の中でも最も一般的なタイプのキャットフードで、乾燥させた固形状のフードです。

水分含有量が10%以下と低く、長期間保存ができます。また、固い粒状の形状が歯垢を付きにくくするのに効果的です。

ドライフードは栄養バランスが良く、総合栄養食としての機能を果たしているため、他の栄養素を追加する必要がありません。

コストパフォーマンスが良く、猫に必要な栄養素を手軽に摂取できます。

ドライフードの保存方法

ドライフードは、湿気や酸化を避けることで長期間の保存が可能です。フードを開封後は空気をしっかり抜いた状態で密閉できる容器に移し替えましょう。

また、フードは湿気を避けて乾燥した冷暗所に保管するのが良いです。冷蔵庫での保存は結露が発生し、フードが湿気を吸収してカビが生えやすくなるため避けてください。

特に開封後は酸化が進むので、できるだけ早めに使い切りましょう。

ウエットフード

ウエットフードは、ドライフードと比べて水分含有量が70〜80%と高いのが特徴です。猫はもともと水をあまり飲まない習性があるため、ウエットフードは水分補給に役立ちます。

また、柔らかい食感と豊かな風味から、食欲が落ちている猫や高齢猫、歯の弱い猫にも適した選択肢です。

総合栄養食として必要な栄養素がバランスよく含まれているため、ウエットフード単独での食事でも問題はありません。

ただし、ドライフードと比べるとコストが高めで、開封後の保存期間が短いです。

ウエットフードの保存方法

ウエットフードは開封後、短期間での使用が推奨されます。開封したウエットフードは、冷蔵庫で保管し、2〜3日以内に使い切るのが理想的です。

開封後のフードは雑菌が繁殖しやすくなるため、保存期間が長引くと猫の健康に悪影響を与える恐れがあります。

猫は冷たい食べ物を好まないため、提供する前に常温に戻すか、電子レンジでほんの少し温めましょう。

生後9ヶ月の猫の特徴は

次に、生後9ヶ月の猫の特徴を紹介します。生後9ヶ月の猫は成猫に近づくにつれて変化する時期ですので、詳しくみていきましょう。

人間に置き換えると15歳前後

生後9ヶ月の猫は、人間の年齢に換算するとおおよそ15歳前後に相当します。生後9ヶ月の猫は、身体的な成長がほぼ完了し、青年期にあたる段階です。

成長期の終盤に差し掛かっており、体つきも大人の猫と変わらないほどに発達していますが、まだ好奇心旺盛でエネルギーが余っているため、遊びたがる場合が多いです。

生後9ヶ月の猫は成猫としての行動や性格が徐々に定まってくる時期でもあり、飼い主との関係性もより深まります。

避妊、去勢手術を検討

生後9ヶ月の猫は、性成熟が進んでおり、繁殖可能な時期です。特にメス猫は初めての発情期を迎える場合があり、オス猫も発情期に反応しやすくなります。

そのため、早い段階から避妊・去勢手術を検討しましょう。避妊や去勢手術には、望まない妊娠を防ぐだけでなく、発情期特有の行動を抑える効果もあります。

また、将来的に生殖器系の病気や特定のホルモンに関連した疾患を予防するのにも効果的です。

体重は約2〜5kg

生後9ヶ月の猫の体重は、平均して約2〜5kgです。ただし、猫の体重は品種や性別、個々の成長速度によって異なる場合があります。

小型の猫種やメス猫の場合、体重が2kg台であることもありますが、大型の猫種やオス猫では4〜5kgに達することも珍しくありません。

生後9ヶ月は成長のピークにあたり、栄養バランスの取れた食事と十分な運動が重要です。

体重が過剰になりすぎると、肥満や将来的な健康問題に繋がるため、適切な体重管理を行いましょう。

性別や品種によって成長の差が出る

猫の成長は、性別や品種によっても大きな差があります。一般的にオス猫はメス猫よりも大きく成長し、体重や筋肉量が増える傾向が強いです。

また、品種ごとに成長速度が異なるため、小型の猫種は早く成猫の体格に達する一方で、大型の猫種は成長がゆっくり進みます。

例えば、メインクーンやラグドールなどの大型猫種は、完全に成猫になるまで2〜3年かかる場合が多いです。

また、短毛種と長毛種でも成長の仕方に違いが見られるケースもあります。

必要な食事の量は

次に、生後9ヶ月の猫に必要な食事の量を紹介します。フードの種類や量、カロリー、頻度を見直して適正な与え方をできるようにしましょう。

必要なカロリーは「80~100kcal×体重」

猫が一日に必要とするカロリーは体重と活動量によって異なりますが、基本的な目安として「80〜100kcal×体重」が推奨されています。

たとえば、体重が4kgの猫であれば、1日のカロリー摂取量は320〜400kcalです。

猫の年齢や性別、運動量によってもカロリーの必要量は変わるため、猫に合わせた適切なカロリーを計算し、過不足のない食事を与えましょう。

また、カロリー不足や過剰摂取は健康問題の原因となるため、注意深く管理してください。

フードパッケージ裏のカロリー表示にあてはめて必要なグラム数を計算する

キャットフードのパッケージには、1kgあたりのカロリー量が表示されています。この情報をもとに、猫の体重と必要カロリーに合わせて、フードの適切な量を計算しましょう。

たとえば、100gあたりのカロリーが400kcalのフードを使用する場合、体重4kgの猫に必要なフードの量は80g〜100gです。

計算すると猫が摂取すべきフード量を正確に把握できるため、体重管理や健康維持に役立ちます。定期的に猫の体重を測定し、フード量の見直しを行いましょう。

食事回数は1〜2回でもOK

生後9ヶ月の猫は、成長期の終盤に入り、1日の食事回数を1〜2回に減らしても問題ありません。

生後9ヶ月の猫は、食事の管理がよりシンプルになりつつありますが、体重や活動量に応じたバランスの取れた食事が必要です。

また、猫の食事回数を減らすと食事のスケジュールが規則的になり、肥満防止や過食のリスクを低減する効果も期待できます。

子猫用のフードから成猫用のフードに切り替える

生後9ヶ月頃の猫は、子猫から成猫への移行期にあります。

そのため、生後9ヶ月で子猫用の高カロリーで栄養豊富なフードから成猫用のバランスの取れたフードへ徐々に切り替えましょう。

成猫用フードは、成長がほぼ完了した猫に必要な栄養素を提供し、適切な体重管理や健康維持をサポートできます。

切り替えの際は、猫の胃腸に負担をかけないように、1週間程度かけて少しずつ新しいフードを混ぜて慣れさせることが重要です。

活発な猫の場合:カロリー表の1.5倍程度の給与量を目安に

活発でエネルギー消費の多い猫には、通常の給与量に加えてカロリーを多めに与えることが必要です。

目安として、フードパッケージに記載された標準的なカロリー量の1.5倍程度が適しています。

例えば、標準的なカロリー量が320kcalの場合、活発な猫には480kcalを目標にした食事量を提供しましょう。

エネルギーを多く消費する猫は、適切なカロリー摂取が不足すると体重が減り、筋肉量の低下や免疫力の低下につながる恐れがあります。

肥満気味の猫の場合:おやつ(間食)を控える、低カロリーのフードなどに切り替え、摂取カロリーを抑える

肥満気味の猫には、摂取カロリーをコントロールすることが重要です。まず、おやつや間食の量を制限し、日々のカロリー摂取を減らしましょう。

また、低カロリーのフードに切り替えると、猫が必要とする栄養素をしっかり摂りつつ、余分なカロリーを抑えられます。

肥満は、糖尿病や心臓病、関節の問題など、様々な健康リスクを引き起こす可能性があるため、定期的な体重チェックと適切なフードの選択による体重管理が非常に重要です。

妊娠期や授乳期の猫の場合:通常の2〜4倍のエネルギーが必要。栄養価の高いものを与える

妊娠期や授乳期の猫は、通常よりも多くのエネルギーが必要です。具体的には、妊娠中や授乳中の猫は通常の2〜4倍のエネルギーを消費します。

妊娠期や授乳期の猫には、タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富なフードを与えましょう。

また、猫が十分な栄養を摂取できるように食事回数を増やし、ウエットフードや高カロリーのドライフードを与えることが効果的です。

猫の健康維持に必要な栄養

次に、猫の健康維持に必要な栄養を紹介します。

  • タンパク質
  • 炭水化物
  • 脂肪
  • ビタミン
  • ミネラル

それぞれ詳しく紹介するので、猫の健康にどのような影響を及ぼすのか詳しくみていきましょう。

タンパク質

まず、猫の健康維持において、必要な栄養素はタンパク質です。猫は肉食動物であり、動物性タンパク質から必要なアミノ酸を摂取します。

特にタウリンというアミノ酸は、猫の目や心臓、免疫システムを正常に機能させるために欠かせない栄養素です。

タンパク質が不足すると、筋肉の減少や免疫力の低下などが発生する恐れがあります。そのため、高品質の動物性タンパク質が豊富に含まれたキャットフードを選びましょう。

炭水化物

次に、猫の健康維持において必要な栄養素は炭水化物です。炭水化物は穀物や野菜から摂取でき、猫の体内でグルコースに変換されてエネルギーとして使われます。

しかし、猫はもともと肉食動物であり、炭水化物を多く摂りすぎると肥満や消化不良を引き起こす可能性が高いです。

そのため、炭水化物の割合は控えめにし、タンパク質や脂肪の摂取を優先させましょう。低炭水化物で高タンパク質のフードが猫の健康維持には適しています。

脂肪

3つ目に、猫の健康維持において必要な栄養素は脂肪です。中でも脂肪酸は、皮膚や被毛の健康を維持し、免疫機能をサポートする効果が期待できます。

特に、オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため、猫の食事に欠かせません。

ただし、脂肪の摂取量が多すぎると肥満や心臓病などのリスクが高まるため、適切なバランスで与えましょう。

高品質のキャットフードには、猫に必要な脂肪酸がバランスよく含まれているものが多くあります。

ビタミン

4つ目に、猫の健康維持において必要な栄養素はビタミンです。ビタミンは、猫の体内での代謝や免疫機能を支えるために欠かせません。

猫は特にビタミンAやビタミンD、ビタミンEが重要で、健康な皮膚や視覚機能、骨の成長、抗酸化作用をサポートします。

ビタミンB群も猫のエネルギー代謝や神経系の健康を維持するために欠かせません。しかし、脂溶性ビタミンの過剰摂取も問題を引き起こす場合があるため、適切な量の摂取が重要です。

ミネラル

5つ目に、猫の健康維持において必要な栄養素はミネラルです。ミネラルは猫の骨や歯の健康維持に必要な栄養素であり、カルシウムやリン、マグネシウム、亜鉛などが含まれます。

特にカルシウムとリンは、骨の形成や維持に欠かせないミネラルで、バランスが崩れると骨の健康に悪影響を与える可能性があります。

また、ミネラルは体内の酵素反応や神経機能、免疫機能にも関与しており、全体的な健康維持に重要です。

最後に、猫の健康維持に必要な成分は水です。水分は体内の老廃物を排出し、体温調節や栄養素の運搬に役立ちます。

特に猫は元々砂漠の生き物であり、自然な状態ではあまり水を飲まないため、食事からも水分を摂取することが必要です。

ウエットフードは水分補給に便利ですが、ドライフードを主食としている場合でも、常に新鮮な水を用意しておくことが重要です。

水分不足は尿路結石や腎臓病などの健康リスクを高めるため、しっかりと水分補給ができる環境を整えてあげましょう。

与えてはいけないもの

最後に、生後9ヶ月の猫に与えてはいけないものを紹介します。

  • ネギ類
  • チョコレート
  • 鳥の骨
  • ブドウ・レーズン
  • 一部の観葉植物

それぞれ詳しく紹介するので、猫の生活環境に置かないようにし、誤飲を防ぎましょう。

ネギ類

まず、猫に与えてはいけないものはネギ類です。ネギ類にはアリルプロピルジスルフィドという物質が含まれており、猫の赤血球を破壊する原因となります。

少量でも摂取すると貧血を引き起こし、重症化すると命に関わるのです。症状としては食欲不振や嘔吐、下痢、虚弱感、呼吸困難などが現れる場合があります。

また、ネギ類は加工食品やスープに含まれている可能性もあるので注意が必要です。猫に与える食事やおやつは、ネギ類が含まれていないかを確認しましょう。

チョコレート

次に、猫に与えてはいけないものはチョコレートです。

チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれており、猫の体内で代謝する能力が低いため、中毒症状を引き起こします。

テオブロミンの過剰摂取は嘔吐や下痢、心拍数の増加、興奮、けいれんなどの症状をもたらし、最悪の場合には死に至るリスクもあるのです。

特にダークチョコレートやココアパウダーには高濃度のテオブロミンが含まれているため、注意しましょう。

鶏の骨

3つ目に、猫に与えてはいけないものは鶏の骨です。特に加熱された鶏の骨は脆くなり、噛んだときに鋭く割れてしまいます。

そして、鋭い破片が猫の口腔内や食道、胃、腸などを傷つけ、消化管の損傷や出血を引き起こす可能性があるのです。

また、骨が消化されにくく、消化不良や便秘、腸閉塞などの原因にもなります。

生の鶏肉にはサルモネラ菌などの病原体が存在する可能性もあるため、与えるのは避けましょう。

ブドウ・レーズン

4つ目に、猫に与えてはいけないものはブドウやレーズンです。猫がブドウやレーズンを摂取すると、中毒症状や腎機能障害を引き起こすことが知られています。

ブドウが影響を及ぼす機序はまだ完全には解明されていませんが、少量の摂取でも命に関わるリスクがあるため注意が必要です。

ブドウやレーズンを食べた猫は、嘔吐や下痢、食欲不振、虚弱感、頻尿または排尿の減少などの症状が見られる場合があります。

症状が現れた場合、早急に動物病院で診察を受けましょう。

一部の観葉植物

最後に、猫に与えてはいけないものは一部の観葉植物です。特にユリやポインセチア、ポトス、アロエなどの植物は、猫が摂取すると中毒を引き起こします。

ユリ科の植物は、少量でも猫の腎臓に深刻なダメージを与える場合があり、摂取後すぐに嘔吐や無気力、食欲不振が現れやすいです。

また、アロエは胃腸に刺激を与え、嘔吐や下痢を引き起こす恐れがあります。観葉植物を室内で育てる際には、猫にとって安全かどうかを事前に確認しましょう。

まとめ

今回は、生後9ヶ月の猫について紹介しました。生後9ヶ月の猫は体重2〜5kg程度であり、体重1kgあたり80〜100kgのカロリーを必要としています。

人間に換算すると15歳程度でありほぼ成猫の状態なので、避妊・去勢手術や食事管理を徹底する必要があります。

飼い主は、ドライフードやウェットフードを活用しながら猫の健康維持に必要な栄養素を確保しましょう。また、猫に与えてはいけないものに注意して環境を整えてください。

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