健康

【獣医師監修】猫に多いアレルギーの原因や症状・治療法を詳しく解説!日頃からできる対策も紹介

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はじめに

猫も人間と同様にアレルギー症状を持つ可能性があり、珍しいわけではありません。発症すると鼻水やくしゃみなど様々な症状が現れます。

飼い主は日頃からアレルギー症状を理解して対策することが大切です。

今回は、猫に多いアレルギーの原因や症状、治療法を詳しく解説します。日頃からできる対策も紹介するので、ぜひチェックして猫の健康をサポートしましょう。

猫のアレルギーの診断方法は?

まず、猫のアレルギーの診断方法を紹介します。

  • 血液検査を行う
  • 食べ物が原因の場合は除去食試験を行う

それぞれ詳しく紹介するので、猫の状況に合わせた診断方法を理解しましょう。

血液検査を行う

猫にアレルギーの疑いがある場合、診断のために最も一般的な方法が血液検査です。血液検査では、猫の血液中の特定の抗体のレベルを測定し、アレルゲンへの反応を確認します。

特に、アトピー性皮膚炎やノミアレルギーなどの環境要因が関係しているアレルギーの診断には、血液検査が有効です。

猫の体内でアレルギー反応を引き起こすアレルゲンが体内に入ると、免疫システムが抗体を生成します。

そして、抗体の値を測定すると、猫が特定の物質に対してアレルギーを持っているかどうかの判断が可能です。

血液検査の結果は、アレルギーの有無だけでなく、どのアレルゲンが問題を引き起こしているのかを特定する手がかりにもなります。

例えば、ダニや花粉、カビ、ノミ、さらには特定の食材など、多岐にわたるアレルゲンに対して検査が行われるのです。

そのため、飼い主はアレルゲンを避けるための具体的な対策ができます。

食物が原因の場合は除去食試験を行う

次に、猫のアレルギーが食物に起因していると考えられる場合、除去食試験が最も効果的な診断方法です。

除去食試験では、猫が通常食べている食事から疑わしい食材を完全に除去し、特定の期間その食材を含まない食事を与えます。

そして、期間中にアレルギー症状が改善されるかどうかを観察し、後に再び同じ食材を少量与えて反応を確認するのです。

もしその食材を再び摂取した後に症状が再発すれば、対象の食材がアレルギーの原因であると特定できます。

除去食試験は通常、2〜3ヶ月の期間が必要で、猫にはアレルギー反応を引き起こしにくい特殊な食事を与えることが大切です。

そうすると、アレルギーの原因となる食材を正確に特定でき、今後その食材を避けて猫の健康を守れます。

また、除去試験を成功させるためには、試験期間中に与える食事の管理が非常に重要です。

たとえば、猫が食事以外に摂取しているおやつも原因になる可能性があるため、徹底的に見直す必要があります。

猫に多いアレルギーの種類と原因・症状・治療法

次に、猫に多いアレルギーの種類と原因・症状・治療法を紹介します。

  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー性皮膚炎

それぞれ詳しく紹介するので、症状や治療法の違いを理解して適切に対応できるようになりましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎

まず、猫に多いアレルギーはノミアレルギー性皮膚炎です。原因や症状、治療法を順番に紹介するので詳しくみていきましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎の原因

ノミアレルギー性皮膚炎の主な原因は、ノミが猫の皮膚を噛んだ際に注入される唾液です。

ノミの唾液にはたんぱく質が含まれており、猫の免疫システムがたんぱく質を異物として認識し、過剰に反応してアレルギー反応が引き起こされます。

猫はわずか1〜2匹のノミに噛まれただけでも、激しいアレルギー症状を引き起こす場合があるのです。

ノミの唾液によるアレルギー反応は、屋外に出ることが多い猫だけでなく、室内飼いの猫にも発生する可能性があります。

なぜなら、外からノミが家に持ち込まれると、猫が感染する場合があるからです。

また、ノミは温暖な気候や湿度の高い環境で繁殖しやすいため、季節や地域によってノミの発生が増加し、猫のアレルギーが悪化する場合もあります。

ノミアレルギー性皮膚炎の症状

ノミアレルギー性皮膚炎の主な症状は皮膚の強いかゆみや炎症です。猫はノミに噛まれた部分を激しく掻いたり舐めたりする場合が多く、皮膚の赤みや傷、脱毛の原因となります。

特に尾の付け根、背中、首の周りなど、ノミが好んで寄生する部位に症状が現れやすいです。また、かゆみのために猫が落ち着かず、常にグルーミングを繰り返す場合もあります。

重度の場合、皮疹を伴う皮膚炎が発生する場合もあり注意が必要です。また、猫がかきむしって皮膚が傷ついて細菌が入り込み、二次感染を引き起こすリスクが高まります。

さらに、皮膚炎が進行して出る症状は、引っかき傷からの滲出液やかさぶたなどです。他にも、かゆみや不快感のために食欲が減退したり、ストレスが増加したりすることも少なくありません。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療法

ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、主にノミの駆除とアレルギー症状の緩和が目的で行われます。最初のステップは、猫の体からノミを完全に除去することです。

まず、獣医が処方するノミ駆除剤やシャンプー、スポットオンタイプの薬剤が使用されます。

薬剤は、猫の皮膚や毛に存在する成虫のノミを殺すだけでなく、ノミの卵や幼虫も駆除するのにも効果的です。

また、猫がノミに再感染しないように、生活環境の徹底的な清掃と予防が欠かせません。

家の中のカーペットや布製品、猫が頻繁にいる場所を定期的に掃除し、ノミが生息しやすい環境を排除します。

アレルギー反応が強い場合には、抗ヒスタミン剤やステロイド剤を使用して、かゆみや炎症を抑える治療を行いましょう。

アトピー性皮膚炎

次に、猫に多いアレルギーはアトピー性皮膚炎です。原因や症状、治療法を順番に紹介するので詳しくみていきましょう。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲンに対する過剰な免疫反応によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎の一種です。

主なアレルゲンとしては、ハウスダストや花粉、カビ、ダニ、さらには猫の住環境に存在するさまざまな物質が挙げられます。

アレルゲンは猫の皮膚や呼吸器を刺激し、アレルギー反応を引き起こすのです。アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要素も関与していると考えられています。

特に、アレルギー体質の猫は、環境アレルゲンに対して過敏になりやすく、アトピー性皮膚炎を発症するリスクが高くなりがちです。

アトピー性皮膚炎の発症は、子猫の頃から見られる場合が多いですが、成猫になってから発症するケースもあります。

アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎の猫に見られる主な症状は、激しいかゆみと皮膚の炎症です。猫はかゆみを感じる部位を掻いたり噛んだり舐めたりして、皮膚に傷をつけてしまう場合があります。

特に耳や顔、首、脇腹、腹部などに症状が現れる場合が多いです。症状が進行すると、皮膚が赤くなったり、脱毛が見られたりする場合もあります。

アトピー性皮膚炎の症状は、季節的に悪化する場合が多く、特に春や秋に発症が見られやすいです。

また、長期間にわたり症状が続くと、皮膚が厚くなったり、乾燥してフケが目立つようになったりするケースがあります。

かゆみのために猫がストレスを感じ、行動が変わる場合もあり、食欲不振や落ち着きがなくなる場合も多いです。

アトピー性皮膚炎の治療法

アトピー性皮膚炎の治療は、アレルゲンを特定して接触を避けることが基本です。

しかし、環境アレルゲンは完全に取り除くことが難しいため、治療の多くは症状を緩和し、生活の質を向上させることを目的としています。

抗ヒスタミン剤やステロイド剤が処方され、かゆみや炎症を抑える治療が行われますが、ステロイド剤は長期使用による副作用が懸念されるため、慎重に使用することが重要です。

免疫療法も有効な治療法の一つで、少量のアレルゲンを体内に投与して、免疫システムが過剰反応しないように調整する方法が行われる場合もあります。

また、猫の皮膚を保護するために、脂肪酸サプリメントや皮膚の保湿効果があるシャンプーを使用するケースも多いです。

食物アレルギー性皮膚炎

最後に、猫に多いアレルギーは食物アレルギー性皮膚炎です。原因や症状、治療法を順番に紹介するので詳しくみていきましょう。

食物アレルギー性皮膚炎の原因

食物アレルギー性皮膚炎は、猫が摂取した特定の食物に対して免疫システムが過剰反応を示し、皮膚のかゆみや炎症を引き起こすアレルギーです。

一般的なアレルゲンとしては、牛肉や鶏肉、乳製品、小麦、大豆、トウモロコシなどが挙げられます。

食材に含まれる特定のタンパク質が、猫の体内で異物と認識され、アレルギー反応を引き起こすのです。

食物アレルギーは、猫の年齢や性別に関係なく発症する可能性があり、時には猫が長期間食べていた食材に突然アレルギー反応を示す場合もあります。

食物アレルギー性皮膚炎は、その他のアレルギーと同様に、遺伝的な要因も関与している可能性が高いです。

食物アレルギー性皮膚炎の原因

食物アレルギー性皮膚炎の主な症状は、激しいかゆみと皮膚の炎症です。特に顔や耳、足、腹部にかゆみが集中する場合が多く、猫はしきりに掻いたり舐めたりします。

また、皮膚が赤くなり、脱毛や湿疹が見られやすいです。症状が悪化すると、皮膚にかさぶたや感染症が発生するリスクもあります。

さらに、消化器系にも影響が現れるケースがあり、下痢や嘔吐が見られる場合も多いです。

食物アレルギーの猫は、消化不良によって体重減少や元気の低下が見られる場合もあるため、食事内容の見直しが必要になります。

食物アレルギー性皮膚炎の治療法

食物アレルギー性皮膚炎の治療には、アレルギーの原因となる食材を特定し、猫の食事から除去することが最も効果的です。

そのため、獣医の指導の下で除去食試験を実施します。

除去食試験では、猫が普段食べている食材をすべて排除し、アレルギー反応を引き起こしにくい食材を与え、症状の改善を観察するのです。

通常、症状が改善されるまでに時間がかかりますが、その後、元の食材を一つずつ再導入して、アレルギー反応を引き起こす食材を特定します。

猫のアレルギー性皮膚炎はストレスで悪化する?

猫のアレルギー性皮膚炎は、アレルゲンによって引き起こされる皮膚の炎症ですが、ストレスが症状を悪化させる大きな要因となることが知られています。

猫は非常に敏感な動物であり、ストレスを感じると免疫システムが弱まり、アレルギー反応が強くなる恐れがあるのです。

免疫機能の低下は皮膚のバリア機能を損ない、アレルゲンに対する防御力を弱めてしまうため、結果的にアレルギー性皮膚炎の症状が悪化することが考えられます。

具体的には、引っ越しや新しい家族の登場、環境の変化、過度な騒音などがストレスの原因となりやすく、猫はストレスを解消しようと過剰にグルーミングをしがちです。

そして、かゆみがさらに悪化し、皮膚に傷がつくと二次的な感染症のリスクが高まる場合もあります。

アレルギー性皮膚炎の猫は、ストレスが加わると治療が困難になり、症状が長引く可能性が高くなるため、ストレス管理も重要な治療の一環です。

健康的な皮膚を保つために日頃からできる予防

次に、健康的な皮膚を保つために日頃からできる予防を紹介します。

  • ノミやダニの定期的な駆除
  • ほこりやハウスダスト除去
  • ブラッシング
  • 皮膚の保湿
  • 一緒に遊んでストレスを軽減する

それぞれ詳しく紹介するので、日頃からぜひ実践してみてください。

ノミやダニの定期的な駆除

まず、猫の皮膚を健康に保つためには、ノミやダニの定期的な駆除を行いましょう。

寄生虫は、猫の皮膚に強いかゆみを引き起こし、猫が過剰に掻いたり噛んだりすると、皮膚炎や感染症を引き起こす可能性があります。

特にノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに対するアレルギー反応が原因であり、定期的な駆除を怠ると症状が悪化しやすいです。

ノミやダニの駆除には、動物病院で処方される駆除薬を一般的に使用します。

スポットオンタイプや経口薬など、猫のライフスタイルに合わせた選択肢があり、定期的に使用すると寄生虫の発生を防ぐことが可能です。

また、家の中の清掃も重要であり、ノミの卵や幼虫は家具やカーペット、猫の寝床に潜んでいる場合が多くあります。

定期的に掃除機をかけて寝具を洗い、環境からの再感染を防ぎましょう。

ほこりやハウスダストの除去

次に、猫の皮膚の健康を守るために、ほこりやハウスダストを除去しましょう。

ほこりやハウスダストには、ダニやカビの微細な粒子が含まれており、アレルゲンとなって猫の皮膚に炎症を引き起こす場合があります。

特にアトピー性皮膚炎の猫にとっては、ハウスダストは症状を悪化させる大きな要因の一つです。

日常的にほこりやハウスダストを除去するためには、掃除の頻度を高めましょう。

特に、猫がよく過ごす場所や寝床、キャットタワーなどはダニが繁殖しやすい環境であるため、こまめに掃除機をかけたり、猫用のベッドを洗濯したりすることが大切です。

また、エアコンや空気清浄機のフィルターの掃除も忘れずに行うと、空気中のダストを減らし、猫の呼吸器や皮膚への負担を軽減できます。

さらに、カーテンやラグなどにはほこりが溜まりやすいので、定期的に洗濯するか、ほこりを払うことが必要です。

ブラッシング

3つ目に、猫の皮膚を健康に保つためには、定期的なブラッシングを行いましょう。

ブラッシングは、猫の毛を清潔に保って毛や皮膚の汚れを取り除く効果があるだけでなく、皮膚の血行を促進し、自然な皮脂の分泌を促して皮膚を保湿します。

そうすると、毛がツヤを保ち、乾燥やフケの発生を防ぐことが可能です。特に長毛種の猫は毛が絡まりやすく、皮膚が蒸れて炎症を引き起こす可能性があります。

ブラッシングを行うと、毛の絡まりを予防し、猫が快適に過ごすことが可能です。

また、ブラッシングは猫と飼い主のコミュニケーションの時間としても大切であり、猫がリラックスできる時間を作れます。

ブラッシングの際には、皮膚に異常がないかを確認することも重要です。赤みやかゆみ、脱毛などの症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

皮膚の保湿

4つ目に、猫の皮膚を健康に保つためには、皮膚の保湿を徹底しましょう。猫の皮膚は乾燥しやすく、冬やエアコンの効いた室内では、皮膚がカサカサしがちです。

乾燥した皮膚はかゆみを引き起こし、猫が過剰に掻いたり舐めたりすると皮膚に傷ができ、感染症のリスクが高まります。

トラブルを防ぐためには、保湿対策を日常的に行うことが大切です。市販のペット用保湿スプレーなどを使用すると、猫の皮膚に適度な湿気を与え、乾燥を防ぐことができます。

また、オメガ3脂肪酸を含むサプリメントを猫の食事に加えると、皮膚の保湿効果を高め、被毛の質を向上させるのに効果的です。

食事に取り入れると、自然なバリア機能が強化され、外部の刺激から皮膚を守ることができます。保湿はアレルギーや皮膚炎を持つ猫に効果的で、かゆみや炎症の軽減が可能です。

一緒に遊んでストレスを軽減

最後に、猫の皮膚を健康に保つためには、一緒に遊んでストレスを軽減しましょう。

猫は非常に敏感な動物で、環境の変化や飼い主の生活リズム、他のペットとの関係など、さまざまな要因でストレスを感じる場合があります。

ストレスが溜まると、免疫力が低下し、皮膚の状態が悪化しやすいです。特にアレルギー性皮膚炎を持つ猫は、ストレスによって症状がさらに悪化する恐れがあります。

猫と一緒に遊ぶことは、ストレス解消に非常に効果的です。狩りの本能を刺激する遊びや、おもちゃを使った遊びは、猫の心身の健康を保ち、余分なエネルギーを発散できます。

また、飼い主とのコミュニケーションを深めると、猫は安心感を得てリラックスでき、ストレスの軽減に繋がりやすいです。

さらに、遊びは猫の肥満防止や筋肉の維持にも役立つため、健康全般に良い影響を与えます。

まとめ

今回は、猫に多いアレルギーについて紹介しました。

猫はノミアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎になる恐れがあり、血液検査や除去試験で診断できます。

猫のアレルギー性皮膚炎はストレスで悪化する恐れがあるので、一緒に遊んでストレスを軽減することが大切です。

また、掃除や洗濯を定期的に実施してアレルゲンとなる物質を除去し、ブラッシングや皮膚の保湿で皮膚炎が発生しづらいようにサポートしましょう。

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