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はじめに
猫があまり水を飲まないので心配になる方は多いと思います。
猫は水分を効率的に使う体の仕組みがありますが、必要な水分量を満たしていないと病気のリスクも上がるので注意が必要です。
今回は、猫が水を飲まない時の対処法を紹介します。
水を飲ませる工夫や水分が足りない時の症状を解説するので、猫が水を飲まずに悩んでいる方はぜひチェックしてください。
猫はあまり水を飲まない?
猫はあまり水を飲まないとされています。猫があまり飲まないのは、猫の生きてきた環境や体の仕組みが関係しているので、詳しくみていきましょう。
猫の祖先は砂漠で暮らしていた
猫の祖先は砂漠地帯で暮らしていたため、水を飲む機会が非常に限られていました。
そのため、猫たちは乾燥した環境で生き延びるために、水分の摂取方法や体内での水分保持に特化した進化を遂げてきたのです。
猫は狩りを通じて得た獲物の体液から必要な水分を摂取していたため、水を飲むという行為自体が少なくなっていました。
そして、猫の水を飲まない習性は現代の家庭猫にも受け継がれ、水をあまり飲まない理由の一つとなっています。
しかし、現代の家庭環境では、ドライフードの普及などにより水分不足が問題となるケースがあるので、水分摂取を促進する工夫が必要です。
体内の少ない水分を効率よく使う仕組みになっている
猫の体は、少ない水分を効率的に利用するように進化しています。
まず、猫の腎臓は非常に優れた機能を持ち、体内の水分を最大限吸収することが可能です。
そのため、猫の尿は非常に濃縮される傾向があります。腎臓は体内の老廃物を濃縮して排出する一方で、必要な水分を吸収するため、少ない水分摂取でも生き延びられるのです。
また、猫は体温調節のために汗をかく場面が少なく、体表面からの水分蒸発を最小限に抑えています。
さらに、猫は狩りを通じて得た獲物の体液からも水分を摂取し、飲み水が少なくても必要な水分を補うことが可能です。
猫が一日に必要な水分量はどれくらい?
猫が一日に必要な水分量は猫の種類によって異なります。小型・中型・大型に分けて紹介するので、愛猫に必要な水分量を与えられているかチェックしましょう。
小型猫
体重が2〜3キログラムの小型猫は、体のサイズに見合った適切な水分摂取が重要です。
一般的に、猫が一日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約50mlと言われています。
そのため、体重が2kgの猫なら約100ml、3kgの猫なら約150mlの水分が必要です。
猫に必要な水分量には、食事から摂取する水分も含まれます。ドライフードを与えている場合は水分摂取が不足しがちになるため、特に注意が必要です。
ドライフードは約10%の水分しか含まれていないのに対し、ウェットフードは約70〜80%の水分を含んでいます。
中型猫
体重が4〜6kgの中型猫にとっても、適切な水分摂取は健康維持のために重要です。
一般的な目安として、体重1kgあたり50mlの水分が必要なのは変わりません。
そのため、体重が4kgの猫なら200ml、6kgの猫なら300mlの水分が一日に必要です。
中型猫は体重に比例して運動量も多くなりがちですので、水分摂取が不足すると、尿路結石や膀胱炎などの健康問題を引き起こすリスクが高まります。
そのため、猫が常に新鮮な水を飲めるようにすることが大切です。
大型猫
体重が7kg以上の大型猫の場合、さらに多くの水分摂取が求められます。
猫の体重1kgあたり約50mlの水分が必要とされるため、体重が7kgの猫なら350ml、9kgの猫なら450mlの水分が一日に必要です。
大型猫は、体が大きいために運動量が多くなる傾向があり、体温調節や代謝活動に必要な水分量も増えます。
大型猫は尿路結石や腎臓病のリスクが高いため、十分な水分摂取を確保しましょう。
定期的に水を取り替え、清潔な水を提供し、猫が飲みやすい環境を整えることが大切です。
猫に水を飲ませるためにできる工夫
猫に水を飲んでもらうためには工夫が必要です。
- 水をこまめに取り替える
- ウェットフードを与える
- 水分量の多いおやつを与える
- 好みの水があれば用意しておく
- 水を入れる容器を変えてみる
それぞれ詳しく紹介するので、ぜひ実践して愛猫に水を飲んでもらいましょう。
水はこまめに取り替える
まず、猫に水を飲ませるためには水はこまめに取り替えましょう。
猫は臭いや味に敏感なので、汚れた水や古くなった水は飲みたがりません。そのため、水をこまめに取り替えて、猫が新鮮で清潔な水を常に飲めるようにすることが重要です。
水は少なくとも1日に1回は取り替えるようにし、特に暑い季節や室温が高い場合は、より頻繁に取り替えることを心がけましょう。
また、水の容器も定期的に洗浄し、細菌やカビの繁殖を防ぐことが大切です。
ウェットフードを与える
次に、猫に水を飲ませるためには、ウェットフードを与えましょう。ウェットフードは水分を多く含んでおり、約70〜80%が水分で構成されています。
そのため、ウェットフードの場合、猫は食事を通じて自然に水分を摂取することが可能です。一方で、ドライフードを主食としている猫には、水分不足を補うためにウェットフードを追加しましょう。
ウェットフードには多種多様な種類があり、猫の好みに合わせて選ぶことができます。また、ウェットフードは風味が豊かで食欲をそそるため、水分摂取だけでなく食事の満足度も高いです。
ただし、ウェットフードを与える際には、適切な量を守り、過剰摂取にならないよう注意しましょう。
水分量の多いおやつを与える
3つ目に、猫に水を飲ませるためには、水分量の多いおやつを与えましょう。例えば、鶏ささみや魚を使ったおやつは、猫が喜んで食べる上に、水分補給にも役立ちます。
市販のおやつの中にはゼリー状やスープ状のものもあり、水分含有量が高いため効果的です。
また、自宅で手作りのおやつを作る際には、茹でた鶏肉や魚を冷まして与えると良いでしょう。手作りおやつは、添加物が含まれていないため、健康的で安全です。
おやつを与える際には、バランスを考えて適量を守りましょう。過剰に与えると栄養の偏りや肥満の原因になるため、普段の食事量と調整しながら与えてください。
好みの水があれば用意しておく
4つ目に、猫に水を飲ませるためには、好みの水があれば用意しておきましょう。猫は水の味や質に敏感で、特定の水を好む場合があります。
猫が好む可能性のある水の種類について詳しくみて行きましょう。
軟水のミネラルウォーター
まず、猫が好むのは軟水のミネラルウォーターです。
猫は硬水を嫌がる場合が多いですが、軟水のミネラルウォーターはミネラル含有量が少ないため、猫にとって飲みやすくなっています。
そのため、市販の軟水ミネラルウォーターを利用すると、猫が多くの水を飲むようになる可能性が高いです。
ただし、ミネラルウォーターを選ぶ際には、ナトリウム含有量が低いものを選ぶ必要があります。
軟水のミネラルウォーターを提供する際には、まず少量から始めて、猫の反応を観察しましょう。
お湯を冷まして水にしたもの
次に、猫が好むのはお湯を冷まして水にしたものです。お湯を沸かして冷ました水は、清潔で適度な温度であるため、猫が飲みやすくなっています。
特に冬場などの寒い季節には冷たい水を嫌がる猫もいるため、お湯を冷ました水が有効です。
お湯を冷ますと、水中の不純物や雑菌も取り除かれるため、より安全で健康的な水を提供できます。
お湯を冷ます際には、自然に冷まして温度が均一に保たれるようにしましょう。猫が好む温度は、室温に近い20〜25度程度です。
魚やお肉などのゆで汁で塩分を含まないもの
最後に、猫が好むのは魚やお肉などのゆで汁です。魚やお肉のゆで汁は、猫にとって魅力的な香りと味を持っているため、水分摂取の促進に役立ちます。
ただし、塩分を含まないものを使用することが重要です。塩分が含まれていると、猫の健康に悪影響を与える可能性があるため、調味料を一切加えずに茹でた汁を使用しましょう。
例えば、鶏肉や白身魚を茹でた汁を冷まして与えると良いです。また、ゆで汁を与えて残ったものは冷蔵保存し、数日以内に使い切ってください。
水を入れる容器を変えてみる
5つ目に、猫に水を飲ませるためには、水を入れる容器を変えてみましょう。猫は敏感な生き物で、容器の材質や形状、深さなどに対して好みが分かれる場合があります。
一般的には、プラスチック製の容器よりも、ステンレス製や陶器製の容器を好む猫が多いです。
プラスチック製の容器は匂いや味を吸収しやすいため、猫にとって不快に感じる場合があります。
ステンレス製や陶器製の容器は匂いや味を吸収しにくく、清潔に保ちやすいです。
また、容器の形状や深さも重要であり、浅く広い容器は猫がひげに触れずに飲めるため、猫に好まれます。
よく通る場所に水を置く
最後に、猫に水を飲ませるためには、よく通る場所に水を置きましょう。猫は好奇心が旺盛で、環境の変化に敏感です。
そのため、普段からよく通る場所に水を置くと、猫が自然と水を飲む機会が増えます。
例えば、キャットタワーの近くや窓際、リビングルームの隅など、猫が日常的に活動する場所に水を配置するのがおすすめです。
また、家の中に複数の水飲み場を設置すると、猫がどこにいても水を飲めるようになります。
特に多頭飼いの場合は、猫がストレスなく水を飲めるよう、複数の水飲み場を設けることが望ましいです。
さらに、猫が水を飲む際にリラックスできるよう、静かで落ち着いた場所に水を設置しましょう。
水を飲まないと発症のリスクが上がる病気
次に、水を飲まないと発症のリスクが上がる病気を紹介します。
- 尿路結石
- 膀胱炎
- 慢性腎臓病
それぞれ詳しく紹介するので、病気のリスクを下げるために、猫に必要な水分量を保ちましょう。
尿路結石
まず、水を飲まないと発症のリスクが上がる病気は尿路結石です。尿路結石は、尿中のミネラルや結晶が集まって固まり、結石として形成されます。
結石が尿道や膀胱に詰まることで、痛みや排尿困難を引き起こすのです。
特に、オス猫は尿道が細く長いため、尿路結石が詰まりやすく、深刻な健康問題を引き起こすリスクが高まります。
尿路結石の主な原因は、水分不足による尿の濃縮です。濃縮された尿は、ミネラルが結晶化しやすくなるため、結石の形成が促進されます。
結石が尿道に詰まると尿の排出が阻害され、膀胱が過度に拡張して激しい痛みや腎不全を引き起こす可能性があり、命に関わることもあるため、予防することが重要です。
膀胱炎
次に、水を飲まないと発症のリスクが上がる病気は膀胱炎です。
膀胱炎は細菌感染やストレス、尿の濃縮が原因で発生します。特に、水分不足は尿の濃縮を引き起こし、細菌が繁殖しやすい環境を作り出すため、膀胱炎のリスクが高いです。
膀胱炎の症状には、頻尿や血尿、排尿時の痛み、トイレ以外での排尿などがあります。猫は膀胱炎の症状を隠す傾向があるため、飼い主は注意深く観察しましょう。
膀胱炎の予防には、水分摂取量を増やすことが重要です。新鮮な水を常に提供し、ウェットフードや水分の多いおやつを与えると、尿の濃縮を防ぎ細菌の繁殖を抑えられます。
慢性腎臓病
最後に、水を飲まないと発症リスクが上がる病気は慢性腎臓病です。腎臓は体内の老廃物を排出し、水分と電解質のバランスを保つ重要な役割を果たしています。
しかし、水分摂取が不足すると、腎臓に負担がかかって機能が低下し、慢性腎臓病の進行を早める要因となるのです。
慢性腎臓病は、初期段階では症状がわかりにくいですが、食欲不振や体重減少、嘔吐、脱水などの症状が現れます。
腎臓が正常に機能しなくなると、体内に老廃物が蓄積し、嘔吐やけいれん、最終的には昏睡状態から死に至ります。高齢の猫は腎臓病を患うことが非常に多いですが、出来る限りリスクを下げるためにも飲水量を増やすことが重要です。
猫の水分が不足している時の症状は?
次に、猫の水分が不足している時の症状を紹介します。
- 尿の色が濃い
- 尿の匂いがきつい
- 口や目の粘膜が乾燥している
- 皮膚の弾力がない
それぞれ詳しく紹介するので、猫に症状が見られた場合は動物病院で診てもらいましょう。
尿の色が濃い
まず、猫の水分が不足している時の症状は、濃い色の尿です。正常な状態では、猫の尿は淡い黄色をしており、ほとんど無色透明になっています。
しかし、水分が不足すると尿の濃度が高まり、色が濃くなるのです。色が濃くなるのは、体が水分を節約しようとして、尿に含まれる排出物の濃度が高くなるからです。
濃い黄色や茶色がかった尿は、猫が十分な水分を摂取していない状態を示しており、場合によっては健康問題の兆候でもあります。
尿の色が濃い場合、まず猫の水分摂取量を増やすことが必要です。さらに、尿の色が濃い状態が続く場合は、獣医師に相談しましょう。
尿の匂いがきつい
次に、猫の水分が不足している時の症状はきつい尿のにおいです。正常な状態では、猫の尿は特有の匂いを持っていますが、強烈ではありません。
しかし、水分不足により尿の濃度が高まると、尿中のアンモニアやその他の排出物の濃度が上がり、匂いが強くなることがあります。
特に、尿の匂いが急に強くなったり、異常に感じたりする場合は、注意が必要です。
尿の匂いがきつい原因は、水分不足による尿の濃縮だけでなく、尿路感染症や腎臓の問題などの健康問題も考えられます。
そのため、匂いがきつくなる状況が続く場合は、獣医師の診察を受けることが重要です。
口や目の粘膜が乾燥している
3つ目に、猫の水分が不足している時の症状は、口や目の粘膜の乾燥です。通常、猫の口や目の粘膜はしっとりしており、健康な状態を保っています。
しかし、水分が不足すると粘膜が乾燥し、カサカサしたり炎症を起こしたりするのです。
特に、猫の口内が乾燥している場合、食欲不振や口内の不快感を引き起こすケースがあり、猫の健康に悪影響を与える可能性があります。
また、目の粘膜が乾燥することも、水分不足のサインです。健康な猫の目は潤いや光沢がありますが、水分が不足すると目が乾燥して赤くなったり、目やにが増えたりします。
皮膚の弾力がない
最後に、猫の水分が不足している時の症状は、皮膚の弾力のなさです。健康な猫の皮膚は弾力があり、つまんだ後すぐに元に戻ります。
しかし、水分が不足すると、皮膚の弾力が失われ、つまんだ後に戻るのに時間がかかるのです。皮膚に弾力がないのは、体内の水分が不足し、皮膚が乾燥しているのを示しています。
特に高齢の猫や病気の猫では、水分不足が皮膚の状態に現れやすいです。
皮膚の弾力がないことは、水分不足以外にも栄養不足や病気の兆候である可能性もありますが、まずは水分摂取を増やして改善を試みましょう。
まとめ
猫はもともと砂漠で暮らしていた動物であり、体内の水分を効率よく使って生活してきました。
しかし、現在の家猫はドッグフードで水分不足に陥りがちなので、水をこまめに取り替えたり、ウェットフードを与えたりして水を飲ませるための工夫が必要です。
猫は十分に水分を摂取しないと、尿路結石や膀胱炎、慢性腎臓病のリスクがあります。
尿の色が濃かったり尿の匂いがきつかったりする場合は水分不足を疑い、猫の水分摂取の取り組みを徹底しましょう。