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【獣医師監修】猫はネズミを食べる?食べてしまった時の注意点や対処法を解説

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はじめに

猫がネズミを追いかけるイメージがありますが、猫がネズミを見つけた際の対応に困る方は多いと思います。

もし猫がネズミを見つけて食べてしまった場合、そのままにしてはいけません。猫がネズミを食べると病気に感染する可能性があるので、飼い主は適切な対処が必要です。

今回は、猫がネズミを食べてしまった場合について紹介します。

食べた時にかかる病気や注意点、対処法を詳しく紹介しますので、ぜひチェックしてください。

猫はネズミを食べるの?

猫はネズミを見つけると本能的に追いかけ、食べてしまうことがあります。まずは、猫がネズミを食べる理由や猫の習性、対応方法について詳しく見ていきましょう。

猫はネズミを食べることがある

猫はネズミを食べる可能性がある動物であり、猫の自然な本能が食べる行動に関係しています。猫は野生の頃から狩猟本能を持っており、ネズミを捕まえて食べようとするのです。

特に外で自由に行動する猫は、ネズミや他の小動物を捕まえて食べるケースがよく見られます。

また、家の中で飼われている猫でも、ネズミが家に侵入した場合、捕らえて食べる可能性があるので注意が必要です。

現代の飼い猫にとって、ネズミを食べると病気に感染するリスクがあります。そのため、飼い主は、猫がネズミを食べるのを防ぐための対策が必要です。

ネズミを狙うのは狩猟本能なので止めるのは難しい

猫がネズミを狙うのは、狩猟本能から来る自然な行動です。猫の狩猟本能は、猫が野生で生き残るために進化してきたものであり、家猫であっても根本的には変わりません。

猫は、動く小さな物体を追いかける習性を持っています。ネズミは最適な対象であり、ネズミを狙う行動を完全に止めるのは非常に難しいです。

猫がネズミを見つけた場合、動きを見逃すことはほとんどありません。そして、猫はネズミの微かな音や動きをすぐに察知してしまいます。

そのため、飼い主は狩猟本能を理解し、猫が安全に遊べる環境を提供することが重要です。

猫が十分に遊び、ストレスを発散させると、ネズミを狙う行動を多少減らせる可能性があります。

室内飼いならある程度は対応可能

室内飼いならある程度は対応可能であり、猫が野生のネズミと接触する機会を大幅に減少させられます。

そして、ネズミからの病気や寄生虫の感染リスクを最小限に抑えることが可能です。室内飼いをする場合は、猫が快適に過ごせるようにするために工夫しましょう。

具体的には、キャットツリーやキャットウォークを設置し、猫が高い場所で遊べるようにすると、猫の狩猟本能を満たすのに役立ちます。

また、さまざまな猫用のおもちゃを用意することも効果的です。

猫を外に出している場合は食べてもわからない

猫を外に出している場合、飼い主が猫が何をしているかを完全に把握することは難しいです。

特に狩猟本能が強い猫は、ネズミや他の小動物を捕まえて食べる可能性がありますが、飼い主は食べたかどうかがわかりません。

外で遊ぶと猫は自然との接触を楽しみ、体を動かせますが、飼い主にとっては見えないリスクが伴うのです。

捕まえた小動物が病気を持っていた場合、病気が猫に感染する可能性があります。

飼い主としては、猫を外に出す際には定期的な健康チェックや予防接種を受けさせることが重要です。

ネズミを食べた時にかかる可能性のある病気

猫がネズミを食べた時は病気にかかる可能性があります。

  • トキソプラズマ症
  • エキノコックス症
  • ネコ条虫

それぞれの症状や注意点を詳しく紹介していますので、猫がネズミを食べた場合は病気の可能性を考慮して対応しましょう。

トキソプラズマ症

まず、猫がネズミを食べた時にかかる可能性のある病気はトキソプラズマ症です。

  • ネズミや生肉を食べると感染リスクがある
  • トイレの衛生管理や便の処理に注意が必要
  • 自然に治癒することが多い
  • 妊娠初期は特に注意が必要

トキソプラズマ症については上記のポイントを詳しくみていきましょう。

ネズミや生肉を食べると感染リスクがある

トキソプラズマ症は、原虫であるトキソプラズマによって引き起こされる感染症です。

野生のネズミや鳥類が主な感染源であり、小動物を食べると猫がトキソプラズマを摂取して感染します。

特に生肉を摂取する猫は、トキソプラズマの感染リスクが高いです。

トキソプラズマ感染の予防には、猫のトイレの衛生管理を徹底し、生肉や未加熱の肉製品を与えないようにしましょう。

トイレの衛生管理や便の処理に注意が必要

猫がトキソプラズマ症に感染すると、糞便中にトキソプラズマのオーシストが排泄されます。

トキソプラズマの糞便中に存在するオーシストを通して感染が広がる場合も多いです。そのため、特に猫のトイレの衛生管理を徹底しましょう。

猫のトイレは定期的に掃除し、汚れた砂を取り除くと、トキソプラズマのオーシストの拡散を防ぐことができます。

糞便処理の際には、手袋を着用して作業し、使用済み砂や糞便を密封した袋に捨てることが重要です。

猫を飼育している場合は、定期的に獣医の診察を受け、健康管理を徹底し、トキソプラズマ感染のリスクを最小限に抑えましょう。

自然に治癒することが多い

トキソプラズマ症は、猫や人に感染しても自然に治癒するケースが多いです。

健康な人の場合、感染した多くの方は自覚症状を感じることなく経過します。免疫が正常であれば、トキソプラズマは体内で制御されることが多いです。

ただし、免疫不全の人や妊婦、未熟児など特定の人々は、重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。

治療が必要な場合、抗トキソプラズマ薬が使用されますが、症状の重症度や感染の経過に応じて治療が決定されるので医師に相談しましょう。

妊娠初期は特に注意

妊娠初期の女性は特にトキソプラズマ感染に注意が必要です。胎児に影響を及ぼす先天性トキソプラズマ症のリスクが存在します。

妊婦が感染すると、トキソプラズマが胎盤を通じて胎児に移行し、重篤な影響を与える可能性があるのです。

特に初期の感染が問題とされ、妊娠初期の女性は猫の糞便処理について慎重に行う必要があります。

妊娠中の女性がトキソプラズマ感染を防ぐためには、猫のトイレの清掃は手袋を着用し、十分に注意を払いましょう。

猫の糞便処理後には、手をしっかりと洗い、消毒することが重要です。また、生肉の摂取や未加熱の肉製品の取り扱いにも注意する必要があります。

そして、妊娠中の女性は猫の餌や糞便の取り扱いについて家族と十分に話し合い、衛生管理を徹底しましょう。

エキノコックス症

次に、猫がネズミを食べた時にかかる可能性のある病気はエキノコックス症です。

  • エキノコックスに寄生されたネズミを食べることで感染
  • 猫に感染した場合は駆虫薬で治療
  • 人に感染した場合は5〜20年の潜伏期間を経て発症

エキノコックス症については上記のポイントを詳しくみていきましょう。

エキノコックスに寄生されたネズミを食べることで感染

エキノコックス症は、寄生虫であるエキノコックスが原因で引き起こされます。

猫がエキノコックス症に感染した場合、野生のネズミが感染源のケースが多いです。

猫は感染したネズミを捕食して幼虫を体内に取り込みます。そして、エキノコックスは、猫の猫の体内で発育して成虫になり、虫卵は便とともに排泄されます。

人ではエキノコックスの虫卵を摂取した場合に感染が成立し、幼虫は消化管を通じて体内を移動し、主に肝臓や肺に嚢胞を形成し、病気の進行が始まります。

エキノコックス症は、犬や猫が人間に感染させることはありませんが、飼い主はエキノコックスの卵を誤って摂取しないよう注意が必要です。

特に、犬や猫が感染したエキノコックスの卵を含む汚染された糞や土壌に接触し、手を口に運ぶと感染のリスクが生じます。

猫に感染した場合は駆虫薬で治療

猫がエキノコックスに感染した場合、駆虫薬を使用して治療する場合が多いです。

駆虫薬は、猫の体内に寄生しているエキノコックスの幼虫や成虫を排除する効果があります。

治療する場合は、獣医師の指導のもとで適切な駆虫薬を使用し、定期的に投与しましょう。

また、エキノコックス症の予防には、猫の外に出る際の管理が重要です。野外での活動が多い場合、猫は野生動物や感染源と接触する可能性が高くなります。

人に感染した場合は5~20年の潜伏期間を経て発症

エキノコックス症は感染してから症状が現れるまでの潜伏期間が長いです。

一般的には人に感染後、発症までに5年から20年程度の期間がかかるとされています。

潜伏期間が長いのは、寄生虫の卵が腸内で孵化し、幼虫が体内を移動して臓器に嚢胞を形成するまで時間がかかるためです。

エキノコックス症の症状は、嚢胞が形成された臓器によって異なりますが、肝臓や肺などの重要な臓器に影響を与える恐れがあります。

軽度の場合は無症状のまま経過しますが、嚢胞が成長し正常な臓器が圧迫されると、痛みや不快感、黄疸、発熱などの症状が現れるのです。最終的に肝不全を起こし、死に至ることもあります。

ネコ条虫

最後に、猫がネズミを食べた時にかかる可能性のある病気はネコ条虫です。

  • 感染猫の便に含まれる卵を食べたネズミを食べると感染
  • 感染しても症状が現われることは少ない
  • 駆虫薬を使用して治療

ネコ条虫については上記のポイントを詳しくみていきましょう。

感染猫の便に含まれる卵を食べたネズミを食べると感染

ネコ条虫は、犬や猫の腸内に寄生する寄生虫であり、感染源となるのがネズミです。

感染した犬や猫は、寄生虫の成虫を腸内に保有し、排泄物に卵が含まれます。

ネズミが、猫の排泄物に含まれた卵を摂取すると、卵がネズミの体内で孵化して幼虫が発育するのです。

そして、ネコ条虫に感染したネズミを猫が摂取すると、再び感染が拡大します。

ネコ条虫は、人間にも感染が可能であり、主に猫を飼育している家庭でのリスクが高いです。

感染したネコの糞便に含まれる卵が環境中に広がり、人間が卵を摂取すると感染が発生します。

感染しても症状が現れることは少ない

ネコ条虫は、一般的に感染しても症状が現れることが少ない疾患です。

ネコ条虫が成虫として猫の腸内に寄生する場合、症状を引き起こさない場合が多くあります。

感染した猫は成虫として腸内に寄生して卵を産みますが、猫の健康に大きな影響を及ぼすことはありません。

そのため、多くの場合、感染した猫は日常生活を送りながら、何の症状も示さずに生活するのです。

一方で、ネコ条虫への感染は人間の健康に影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。

駆虫薬を使用して治療

ネコ条虫感染の治療には、主に駆虫薬を使用します。駆虫薬は、寄生虫の成虫や幼虫を排除するための効果的な薬剤です。

獣医師が処方する駆虫薬は、猫の体内に寄生しているネコ条虫を排除して、感染を制御し、再感染を防止する役割を果たします。

治療の過程では、正確な投与量と投与スケジュールの遵守が重要です。

獣医師の指導のもとで適切な駆虫薬を使用すると、猫の健康を維持しながら感染症のリスクを最小限に抑えられます。

また、定期的な獣医師の診察と健康管理が、感染予防や早期発見につながるため重要です。

猫がネズミを食べた可能性がある場合の対処法

猫がネズミを食べた可能性がある場合、適切な対処が必要です。

  • トイレのお世話をした後は手をしっかり洗う
  • 口移しやキスなどのスキンシップは控える
  • 噛まれたり引っ掻かれたりしたらすぐに洗って消毒する
  • 獣医師に相談する

上記のポイントを詳しく紹介するので、可能性が疑われる場合はすぐに対応できるようチェックしてください。

トイレのお世話をした後は手をしっかり洗う

まず、猫がネズミを食べた可能性がある場合、トイレのお世話をした後は手をしっかり洗いましょう。

猫はネズミを捕獲する際に、体液や排泄物に触れる可能性があります。

また、猫が捕獲したネズミは、様々な病原体を媒介する可能性が高く、トイレのお世話をする際には、可能な限り直接的な接触を避けることが重要です。

猫の糞便を処理したり、猫のトイレの砂を交換したりする場合は、作業後には必ず手を石鹸と水で十分に洗いましょう。

また、手袋を使用すると、感染リスクを低減できます。使用した手袋は適切に処理し、使い捨てのものであればすぐに廃棄しましょう。

口移しやキスなどのスキンシップは控える

次に、猫がネズミを食べた可能性がある場合、口移しやキスなどのスキンシップは控えましょう。

猫がネズミを捕らえて食べた場合、その後の接触には注意が必要です。猫は捕食行動を通じて、ネズミの体液や微粒子が口や毛皮に付着する恐れがあるのです。

そのため、口移しやキスなどの直接的なスキンシップを控えると、人間が病原体に感染するリスクを低減できます。

特に、子供や免疫力の低下している人々は感染のリスクが高くなるのでやめましょう。

噛まれたり引っ掻かれたりしたらすぐに洗って消毒する

3つ目に、猫がネズミを食べた可能性がある場合、噛まれたり引っ掻かれたりしたらすぐに洗って消毒しましょう。

猫は捕食時にネズミの体液や微生物にさらされる可能性があり、口や爪には様々な病原体が付着している可能性があります。

特に噛まれたり引っ掻かれた際には、傷口から侵入するリスクが高いため、早急な処置が必要です。

傷口を洗浄する際には、流水で傷口を十分に洗い流し、皮膚の表面から汚れや異物を取り除きましょう。次に、石鹸を使用して傷口周囲を丁寧に洗い、汚れや微生物を除去します。

洗浄後は水で再び洗い流し、乾いた清潔なガーゼで軽く包帯をすると、感染リスクの低減が可能です。

獣医師に相談する

最後に、猫がネズミを食べた可能性がある場合、獣医師に相談しましょう。

ネズミはさまざまな病原体を媒介する可能性があり、猫が口にしたり、体に触れたりすると感染リスクが生じます。特に野外で活動する猫は、病気への感染リスクが高いです。

獣医師は猫の健康状態を詳しく調査し、必要に応じて検査や治療を行ってくれます。

また、ネズミを捕食した後に猫の体調が異常を示す場合は、早期に獣医師の診察を受けると適切な治療を開始でき、猫の回復を促進できるのです。

さらに、獣医師から適切な予防措置のアドバイスを受けられます。

まとめ

今回は、猫がネズミを食べた場合の対処法を紹介しました。猫は狩猟本能からネズミを食べますが、ネズミから病気に感染するリスクがあります。

猫がネズミを食べた可能性がある場合は、トイレのお世話後はしっかりと手を洗い、スキンシップは避けてください。

また、噛まれたり引っ掻かれたりした場合はすぐに洗い流し、医師に相談することが重要です。

ネズミからの感染リスクを理解し、適切に予防して猫の健康をサポートしましょう。

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