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はじめに
猫は、本来の性質でいえば、外で獲物を捕まえて生活していた動物です。
獲物を捕獲するために、その鋭い爪は生きるための武器として、欠かすことのできないものでした。
しかし、皆さんのお家で飼われている猫の場合、鋭い爪が人間との共同生活において障害になりますし、猫にとっても、鋭い爪が役に立つ場面はほとんどありません。
そのため、飼い猫は定期的に爪切りが必要になってきます。
そこで今回は、猫の飼育初心者に向けて、正しい猫の爪切りの方法や、頻度などをご紹介します。
これから猫を飼う方、猫を飼い始めたばかりで、爪について悩んでいる方は必見です。
猫の爪切りはやらなければならない?
猫の爪切りをする必要があるかといえば、室内で飼われている猫には爪切りは必要です。
家の中で生活している猫は、爪切りをしなければ、長い爪が伸びたままになってしまい危険です。
「爪とぎをするから猫は爪切りが不要なのでは?」と思っている方も多いですが、そんなことはありません。
猫の爪は何層にもなっており、外側の古い層をはがして、新しい尖った爪を出してあげるのが爪とぎで、爪切りのように長くなった爪が短くなることはありません。
野性の猫には、鋭い爪が必要だったため、本能的な行動で、爪とぎをおこなうだけで、爪を短くすることはありませんでした。
本来の猫は、外で暮らし、木に登ったり、獲物を捕獲したりすることで、爪が適度に削れていたため、爪切りの必要がなかったのです。
しかし、室内飼育の猫は、部屋の中で生活するのに、鋭い爪を使う機会はほぼありません。
キャットタワーで遊んだり、おもちゃを追いかけまわしたりしても、爪が削れることはありません。
爪が伸びたままになっていると、カーテンやカーペット、畳などあらゆるところを傷つけてしまいます。
また、切らないでそのまま放置してしまうと、故意ではないにしろ、人間やその他の同居している動物などを傷付けてしまうことがあります。
室内での猫との共同生活において、猫の爪が必要な場面はほとんどありません。
そのため、飼い主が定期的に、猫の爪切りをしてあげなくてはなりません。
伸びた爪を放置することで、さまざまな問題が出てきてしまいます。
爪を切らないことで懸念される問題についてご紹介します。
肉球に刺さる可能性がある
本能的に爪とぎをしていた猫も、歳を重ねると爪とぎをあまりしなくなります。
爪とぎをせずにしておくと、古い層が残り、太い巻き爪になってしまいます。
そのまま放置をすれば、巻き爪が肉球の方に伸びてしまい、肉球に刺さってしまいます。
そうなってしまうと、痛みや炎症で、猫にとって歩行するのもつらいほどの痛みが襲います。
また、痛みや違和感をかばって歩くために、関節に悪影響を及ぼすことにもつながります。
猫にとって、爪を伸ばして巻き爪になってしまうと、このようなリスクがついてまわるのです。
そのためにも、爪とぎをする、しないに関わらず、若いうちから爪切りで長さを整えてあげてください。
飼い主を怪我させる可能性もある
家庭で飼われている猫は、爪とぎをしていても、爪が短くなっているわけではありません。
爪を切らずにいると、長い爪でじゃれあっている最中に爪が引っかかってケガをしてしまう可能性があります。
ほかにも、爪の先に菌が付着していた場合に、引っかかれた傷から「猫ひっかき病」や「パスツレラ感染症」などの感染症を引き起こす危険もあります。
猫ひっかき病は、バルトネラという細菌による感染症で、ノミに吸血されたことで感染した猫が、人を引っかくと傷口から感染します。
引っかかれて3日〜10日後に傷口が赤く腫れあがり、その後リンパ節にも腫れがみられるようになります。
おもな症状として、発熱、全身の倦怠感、吐き気があります。
ほとんどの場合、自然に治ることが多いですが、場合によっては完治まで数週間から数ヵ月かかることもあります。
パスツレラ感染症は、猫のほぼ100%が口の中に保有しているパスツレラ菌によって引き起こされる感染症で、本来は嚙まれることで感染するものです。
しかし、猫は自分の脚を舐める習性があるため、パスツレラ菌の付着した爪で引っかかれることでも感染します。
感染すると、早ければ数時間で腫れて赤くなり、発熱や痛みをともない、気管支炎や副鼻腔炎などになることがあります。
高齢者や免疫不全の方は重症化することもあるので、注意が必要です。
このように、爪が伸びすぎると、猫にとって生活が不便になるだけでなく、人間にとってもリスクの高いものになるので、爪切りは猫のお世話のなかでも、重要な役割を果たしています。
猫の爪を切る方法
家庭で飼われている猫は、爪切りをしなければなりませんが、警戒心が強いため、慣れるまでは難しいかもしれません。
スムーズに爪切りをおこなうには、猫がリラックスしているときを見計らって、できるだけ短時間で済ませることです。
あまり時間をかけると猫が嫌がってしまい、次の機会に爪切りを見ただけでどこかへ逃げるようになってしまいます。
そうなると、爪を切るために、猫を呼び寄せることすら難しくなってしまいますので、最初の頃はうまくいかず、全部切ることができなくても、短時間で切り上げましょう。
ちょっと動き出したら、優しくなでてみたり、おやつをあげてみたりして、猫の気をそらしながらおこなってあげてください。
猫専用の爪切りを購入する
猫の爪を切る際には、猫専用の爪切りを用意しましょう。
人間用の爪切りを使用するのは避けてください。
慣れている飼い主さんのなかには、人間用の爪切りで猫の爪を切っている方もいますが、人間と猫では爪の形状が違うため、かなりの経験値が必要ですし、場合によっては爪が割れてしまうリスクもあるため避けた方が賢明です。
可能であれば、猫専用の爪切りで切ることをおすすめします。
猫専用爪切りの種類ですが、主な形状にギロチン型とハサミ型があります。
ギロチン型は、円状になっている部分に爪を入れて、グリップを握ることで刃が出て爪を切ります。
慣れるまでは少し怖いですが、均等に力が入り、かたい爪もスパっと切ることができるのが特徴です。
ペットサロンや動物病院ではギロチン型の爪切りを使用しているところが多いので、使い方がわからないときには、かかりつけのペットサロンや動物病院で聞いてみるのもよいでしょう。
ハサミ型は、名前のとおりハサミの形状をしており、先端のくぼみに爪を当ててハサミの要領でカットします。
均等に力が入りづらい点や、厚い爪のカットが難しい点はありますが、日頃より使い慣れているハサミと同じ形状なので、子猫や、爪切り初心者にはハサミ型がおすすめです。
爪切りのやり方
爪切りのやり方ですが、まずは猫がリラックスしているときを狙いましょう。
警戒しているときに、無理に抑え込んでもほとんどの猫が嫌がって、次回爪を切ろうとしても、爪切りを見ると近寄ってこなくなります。
猫をうしろから抱きかかえる形で、ひざに乗せ、仰向けの状態を作ります。
ひざの上を嫌がる場合には、仰向けになっている猫に、そっと包み込むように覆いかぶさってください。
それでも嫌がる場合には、猫を洗濯ネットに入れて、ネットから爪だけ出して切る方法が有効です。
狭いところを好む猫は、ネットなどに入ると安心して落ち着きます。
そのため爪切りをするときに、ネットに入れて切る飼い主さんも多くいます。
ただし、長時間ネットに入れておくのはストレスになってしまうので、終了したらすみやかにネットから出してあげましょう。
ここまでできるようになったら、次は実際に爪を切っていきます。
通常、猫の爪は指の中に隠れており、肉球をそっと押すと爪が出てきます。
でてきた爪の先端から2〜3mmの尖った部分を切っていきましょう。
肉球を押して爪を出したら、切る前にまず確認してほしいのが、爪の途中から根本にかけてピンク色になっている部分です。
この部分は「クイック」と呼ばれ、血管と神経が通っているので、クイックまで爪を切ってしまうと、いわゆる深爪の状態になり、猫はとても痛がり、出血してしまいます。
もし、出血した場合には、ガーゼなどで出血しているところをしっかりと押さえて止血します。
心配ならば、ペットショップなどで止血用パウダーが売っているので用意しておいてもよいでしょう。
ほとんどの猫は、1本でも出血したら、続けることを嫌がってしまうので、あまり無理せずに日をあらためて爪切りを再開してください。
このようなやり方で爪を切っていくのですが、まずは爪を切る体勢や肉球を触らせてもらえなければ爪を切ることができません。
そのため、子猫の頃からひざの上に乗せたり、肉球を押したりすることに慣れさせていきながら、段階を踏んで爪を切っていきましょう。
もし激しく抵抗するようでしたら、すぐに爪切りを中止してください。
そのまま続けると、今後爪を切らせてくれなくなる恐れがあるためです。
厳しそうだったらトリミングサロンにお願いする
猫が、自宅で爪を切ることにどうしても抵抗して無理なようでしたら、トリミングサロンにお願いしてください。
サロンスタッフは猫の爪切りに慣れているため、無理なくすぐに切ってくれます。
最初は嫌がるかもしれませんが、失敗して出血することも少ないため、慣れてくれば、スムーズに切らせてくれるはずです。
費用も1,000円前後なので、気軽に通えますし、肉球やおしりの周りなどもきれいに整えてもらえるセットなどを実施しているサロンもありますので、ご自身での爪切りが不安な飼い主さんは活用してみるとよいでしょう。
猫の爪切りの頻度とタイミング
猫の爪切りは、どれくらいの頻度でおこなえばよいのか、また、スムーズに爪切りをおこなうために最適なタイミングはいつなのか解説いたします。
最適な頻度
猫の爪切りの最適な頻度は、3週間〜1ヵ月に1回を目安としてください。
これ以上短くても、まだ猫の爪が伸びておらず、クイックを切ってしまうおそれがあります。
ただし、例外として、子猫は成長のスピード同様に、爪が伸びるのも早いため、1〜2週間に1回程度、爪の様子を確認して、伸びているようであれば、切ってあげてください。
また、高齢になると猫は爪とぎをあまりしなくなるので、古い爪が残ってしまい、爪が厚くなってしまいます。
そのまま放置すると、巻き爪になって、肉球に刺さってしまいます。
そうなってしまうと、自分では爪切りでも簡単に切れないようになるので、こまめに爪をチェックして、厚くなる前に切ってあげてください。
爪切りのタイミング
爪切りのタイミングは、猫がリラックスして、気を許しているときがよいでしょう。
普段から、猫を見ていて、明らかに機嫌が悪いときや、警戒しているときは爪切りのタイミングではありません。
また、体に触れられることに慣れていないと、爪を切ることはなかなか難しいので、まずは仰向けの状態で膝に乗せたり、包み込むように覆いかぶさってみたりして猫の反応を伺ってください。
抵抗せずにリラックスしていたら、おやつをあげて、良い印象を与えておくことも大切です。
体や肉球に触れても抵抗しないようであれば、爪切りの絶好のタイミングです。
爪切りで気をつけるポイント
爪切りで気を付けたいポイントを押さえておきましょう。
まずは猫をリラックスさせてあげて、爪を切る体勢に慣れさせることです。
次に、嫌がることを1つずつ減らしていってあげてください。
正面から切られるのを嫌がるなら、後ろ足、前足の順で切ってあげると意外と切らせてくれます。
親指側は嫌がる猫が多いので、まずは小指側からチャレンジしてみると平気だったりします。
どうしても嫌がるなら、おもちゃやおやつで気を逸らしているうちに切るという方法もあるので試してください。
いずれにしろ、はじめのうちは1本ずつ切っていき、途中でも嫌がるようでしたら、無理をせずにあきらめてその日は中止しましょう。
切りすぎはダメ
猫の爪には神経と血管が通っているため、切りすぎは厳禁です。
痛みをともなう出血は、猫に爪切りに対する恐怖心を抱かせることになってしまいます。
肉球を押すと爪が出てきますが、その際にピンク色に見える部分には神経や血管が通っているので、この部分は切らないでください。
ピンクの部分を避けて、爪の先端の2〜3mmの尖った部分だけを切るようにしてください。
また、万が一出血しても、焦らずにガーゼや止血用パウダーなどで、止血をしてあげてください。
やすりで形を整えてあげる
爪を切った際に、断面が角張ってしまい、触れられると痛かったり、衣服やカーテンに引っかかったりしてしまうことがあります。
そのような場合には、人間の爪同様に、爪やすりで角を削って整えてあげましょう。
ただし、やすりをかけるのは爪切りよりも時間がかかるので、落ち着いて爪切りができる状態になってからおこなうようにしてください。
それでも上手く切れない場合は
猫を落ち着かせて、爪切りができる体勢になっても、いざ切ろうとすると激しく抵抗したり、逃げ出したりする猫もいます。
そこで、強引に爪を切ってしまうと、爪切りを嫌いになるだけでなく、猫のケガにもつながります。
また、強い警戒心をもたれてしまうことで、ほかのケアも難しくなり、お世話をするのにとても苦労することになってしまいます。
ご自分でいろいろ試して、それでもうまく切れない場合には、ペットサロンや動物病院などで切ってもらうことをおすすめします。
爪切りにかかる時間も短縮できますし、猫にとっても、ストレスがかからないため、家庭での爪切りをどうしても嫌がる場合は、そのまま放置せずにプロに切ってもらいましょう。
まとめ
家庭で飼われている猫にとって、爪切りはとても重要です。
獲物を捕まえたり、木に登ったりする必要がないため、鋭い爪を必要としないからです。
定期的に爪を切らないと、人も部屋も傷付けてしまうことになりますし、引っかかれることによって感染症になってしまうおそれもあります。
また、猫がどうしてもいうことを聞いてくれずに、爪を切らせてくれないからといって、放置はせずに、ペットサロンなどで切ってもらってください。
解説してきたように、猫を迎え入れて一緒に暮らしていくうえで、爪切りは欠かせません。
まずは当記事でご紹介した方法で、少しずつで構いませんので、爪切りにチャレンジしてみてください。