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はじめに
猫を飼っていると、抜け毛の量に悩むことがあるかもしれません。特に季節の変わり目には、家中にふわふわと舞う毛が気になるものです。しかし、猫の抜け毛は単なる困り事ではなく、健康状態を知るための大切なサインでもあります。
この記事では獣医師監修のもと、猫の換毛期について詳しく解説し、換毛期の注意点や抜け毛の多い猫の特徴についてお伝えします。
猫の換毛期はいつなのか、どうすれば抜け毛を減らせるのか悩んでいる方も、この記事を通じて、猫の換毛期に関する基本的な知識だけでなく、抜け毛対策や健康管理にも役立てられれば幸いです。
換毛期とは
「換毛期」は、猫の毛が生え変わる時期を指します。猫にとって換毛期は「衣替え」のようなもので、古い毛を抜け落として、新しい毛に変わる過程です。
主に季節の変わり目、特に春から夏にかけて起こります。この時期には、柔らかくて暖かい冬毛から、硬くてしっかりした夏毛に生え変わるため、大量の抜け毛が発生します。換毛期は、猫が気温や気候の変化に対応するために必要な大切な時期です。
哺乳類の動物には換毛期がありますが、特徴は動物ごとに違います。猫の換毛期について飼い主がしっかり理解することは、猫の健康管理や快適な生活環境の維持に役立つため、換毛期に正しいケアをすることで、猫の被毛の健康を守り、抜け毛の対策にもつながります。
猫の換毛期はいつ?
猫の換毛期は、飼い主にとって重要な時期です。換毛期について適切に理解し、対応することで、猫の健康を守るとともに、家庭内の清潔も保てます。詳しくみていきましょう。
春と秋の年2回が一般的
猫の換毛期は、春(3月ごろ)と秋(11月ごろ)の年2回訪れることが一般的です。
そのため春と秋には、普段よりも抜け毛が増えると感じることが多いでしょう。
春の換毛期には、寒い冬の間に生えたやわらかい毛が抜け落ち、夏に向けて通気性の良い毛に生え替わります。一方、秋の換毛期には、夏の間に生えた毛が抜け落ち、冬に向けて保温性の高い毛に変わります。
特に春の換毛期には、冬の間に生えた厚い毛を大量に抜け落とすため、抜け毛が多く感じられるかもしれません。このため、秋よりも春の方が、抜けた毛が空中に舞い上がりやすく、掃除の頻度が増えます。
飼育環境によっては時期がずれることも
一般的に年2回ある猫の換毛期ですが、日照時間の長さや、気温に影響されることもあります。そのため、飼育環境によって換毛期の時期がずれることや、あまり目立った変化がみられないこともあるでしょう。
特に、室内飼いの猫はほとんどを室内で過ごすため、外の季節変化を感じにくく、換毛期がはっきりしない場合があります。室内飼いの猫は、一日中日光を浴びたり外気にさらされたりすることが少なく、エアコンで室温が一定に保たれていることが多いためです。
このため、1年中抜け毛があり、はっきりとした換毛期がみられないこともあります。
しかし、全ての室内飼いの猫が同じとは限りません。猫の種類や個体差によって、換毛期が明らかにわかるくらい、しっかり抜ける時期がある猫もいれば、そうでない猫もいます。
特に毛が二層になっているダブルコートの猫は換毛期が明確で、抜け毛が多いです。一方、シングルコートの猫は1年を通して徐々に毛が生え変わるため、換毛期がわかりにくい傾向があります。
飼い主は猫の健康状態をよく観察し、適切なケアを行うことが大切です。
抜け毛が多い猫の特徴は?
猫の抜け毛が多い理由には、被毛の構造が関係しています。ここでは、猫の被毛の種類と、それぞれの特徴について詳しく説明し、抜け毛が多い猫の特徴をみていきます。
猫の被毛は2種類ある
猫の被毛は「オーバーコート(上毛)」と「アンダーコート(下毛)」の2種類から構成されています。この2種類の被毛は、猫の健康を守り、快適に過ごすために重要や役割を果たすものです。
オーバーコート
オーバーコートは「ガードヘア」や「プライマリーヘア」とも呼ばれる、猫の被毛の最も外側にある毛です。太くて硬く、水や紫外線から皮膚を守る役割があります。また、外見的にも猫の美しい毛並みを作り出す部分でもあります。
オーバーコートは猫の体を保護し、汚れや外的なダメージから守る重要な役割を果たす大切な毛です。
アンダーコート
アンダーコートは細く柔らかい毛で、オーバーコートの下に生えています。これらの毛は「アウターコート」や「ダウンヘア」とも呼ばれ、主に体温調節や保温の役割を担っているものです。特に冬はアンダーコートが密に生えており、猫の体温を逃さないようにして防寒性を高めています。
換毛期には、このアンダーコートが多く抜け落ち、新しい毛に生え替わります。
猫は2タイプに分けられる
猫の被毛には2つのタイプがあり、それぞれの特徴に応じて、抜け毛の量や換毛期のパターンが異なります。
オーバーコートとアンダーコートの両方を持つダブルコート
ダブルコートの猫は、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の両方を持っています。
ガードヘアやプライマリーヘアとも呼ばれるオーバーコートは、太くて硬く、水や紫外線から皮膚を守る役割を担います。そして猫の美しい毛並みを作りだします。
アンダーコートは細くて柔らかく、オーバーコートの下に生えており、換毛期にはアンダーコートが大量に抜け落ち、新しい毛に生まれ変わるのが特徴です。
ダブルコートの代表的な猫種には、アメリカンショートヘア、アビシニアン、スコティッシュフォールド、ヒマラヤン、ラグドール、ロシアンブルーなどがいます。
ほぼオーバーコートのみのシングルコート
シングルコートの猫は、ほぼオーバーコートのみで構成されています。オーバーコートのみを持つため、抜け毛の量はダブルコートの猫に比べて少なく、換毛期がはっきりしないことが多いです。
ただし、シングルコートの猫種の中にも、柔らかい被毛が生える猫もいます。
シングルコートの代表的な猫種は、メインクーン、ベンガル、シャムなどです。
抜け毛が多いのはダブルコートの猫
抜け毛が多いのは、主にダブルコートの猫です。ダブルコートの猫は、季節ごとに大量のアンダーコートが抜け落ちるため、飼い主にとってはケアや掃除が大変になるでしょう。特に春の換毛期には、冬の間に蓄えられた厚いアンダーコートが一気に抜け落ちるため、抜け毛の量が増える傾向があります。
日本の雑種猫は、一般的にダブルコートが多いです。愛猫がダブルコートかシングルコートかを確認するには、被毛をかき分けて内側の毛を観察してみてください。外側の毛と同じ毛が生えていればシングルコート、ふわふわした柔らかい綿毛のような毛があればダブルコートです。判断が難しい場合は動物病院などで確認してもらいましょう。
猫の被毛の種類と構造を理解することで、抜け毛の多い猫の特徴を把握し、適切なケアを行えます。愛猫の被毛のタイプに応じた対策をして、快適な生活環境を与えてあげましょう。
猫の換毛期に気をつけておきたいこと
換毛期は、猫にとっても飼い主にとっても重要な時期です。この期間には猫の健康を保つために、いくつかの注意点があります。特に「毛球症」に対する対策が必要で、気をつけておきたいことです。
毛球症にならないように注意
毛球症とは、猫がグルーミングで飲み込んだ毛が体外に排出されず、胃や腸などの消化器官に溜まってしまう症状です。
健康な猫は飲み込んだ毛を吐き出すか、便と一緒に排出しますが、換毛期などで毛を多く飲み込むと大きな毛玉(毛球)ができ、吐き出せなくなります。これが進行してしまうと、腸閉塞を引き起こし、最悪手術が必要になることもあるほどです。
以下のような予防法を実践しましょう。
こまめにブラッシングをする
換毛期には、抜け毛が大量に発生します。猫が自分の体を舐めるグルーミングの際に、毛を飲み込むことは避けられませんが、こまめにブラッシングすることで体内に入る毛の量は減らせます。
長毛種なら1日2回、短毛種でも1日1回のブラッシングが目安です。毛並みに沿って優しくブラッシングしてあげましょう。これにより、毛球症の予防や、猫が吐き出す毛の量を減らせます。
そのほか、水が嫌いでなければ、シャンプーをしてあげるのも効果的です。ただし、猫にとってシャンプーのしすぎは、皮膚トラブルの原因になることがあります。長毛種なら月1回、短毛種なら年1〜2回程度にしておきましょう。
ブラッシングは猫とのスキンシップになり信頼関係を深める良い機会です。積極的に行いましょう。
掃除を徹底する
ブラッシングで取り除いた毛だけでなく、床や家具に落ちた毛もこまめに掃除することが大切です。猫が舞い上がった毛を口にすることを防ぐためにも、掃除機や粘着クリーナーを使って部屋を清潔に保ちましょう。
特に換毛期には、猫が毛を飲み込む機会が増えるため、いつも以上に注意が必要です。掃除を徹底することで、猫の健康被害を防ぎ、飼い主のアレルギー対策にもなります。
毛玉ケアキャットフードを利用する
普段与えているキャットフードを、毛玉ケア用のものに変更するのも効果的です。毛玉ケアフードは、食物繊維が豊富に含まれており、猫の体内に溜まった毛を便と一緒に排出しやすくします。ビートパルプやセルロース、サイリウムなどが代表的な成分です。
猫が喜んでたべてくれるおやつにも、毛玉ケア成分が含まれたものを選ぶと一層、毛玉を排出しやすくなるでしょう。
この時期のケアはこまめなブラッシングや掃除など、飼い主にとっては少し手間のかかることかもしれません。猫が快適に過ごせるように、飼い主は注意を払いましょう。
毛玉を頻繁に吐く場合は病院に相談
猫はよく吐く動物ですが、ただ毛玉を吐き出しただけなのか、病気なのかの判断が難しいと感じることもあるでしょう。毛玉を吐くこと自体は、猫の通常の習性ですが、以下のような症状がみられた場合は、病院に相談することをおすすめします。
- 1日に何度も吐く
- 食欲がない
- 体重が減ってきた
- 嘔吐物に血や異物が混じっている
- 吐こうとしているが何も出ない、または胃液のみ出る
- 咳き込みが頻繁
- 元気がない
- 毛繕いの頻度が増えた
- 下痢や便秘をしている
- 便に大量の毛が混じっている
これらの症状は、毛球症以外の健康問題を示している可能性があります。それは、異物の誤食や中毒などです。危険を伴う状況もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。
病院を受診する際は、吐く時の様子や頻度、タイミング、生活習慣の変化など、わかる範囲でいいので獣医師に伝えられるようにしておきましょう。これらの情報は、獣医師が正確な診断を行うために役立ちます。
飼い主がアレルギーを発症することも
換毛期の猫の抜け毛は、柔らかく軽いため空中に舞いやすく、室内のハウスダストが増える原因となります。このハウスダストには、猫の唾液に含まれる「Fel d1(フェルディーワン)」というアレルゲンが付着しており、アレルギー反応を引き起こすことがあります。飼い主が一時的にアレルギーを発症することもあるため、適切な対策が必要です。
アレルゲンをできる限り除去する
定期的に部屋の掃除を行い、抜け毛やハウスダストの蓄積を最小限に抑えることが大切です。猫のアレルゲン「Fel d1(フェルディーワン)」は唾液や皮脂腺から分泌されるため、これが付着した抜け毛や、フケをこまめに除去することが効果的となってきます。また、抜け毛を減らすために、換毛期には特にこまめなブラッシングも必要です。
アレルゲンの除去には、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機やエアコン、掃除機を使用すると良いでしょう。HEPAフィルターは0.3μmの粒子に対して99.97%以上という微細な粒子も捕集でき、空気中のアレルゲンを効率的に取り除くことができます。
掃除機プラス拭き掃除がおすすめ
掃除機をかける前に、部屋全体に霧吹きで水をかけると、抜け毛が水分で重たくなり舞い上がりにくいです。床が少し湿ってきたら、濡れた雑巾で毛を集め、そのあとで掃除機をかけると良いでしょう。
また、掃除の際には床面だけでなく、壁面や家電製品の裏もしっかり掃除することが大切です。掃除は高い場所から低い場所へ順番に行いましょう。
ソファやカーペットなどにはアレルゲンが付着しやすいため、こまめに洗濯し、HEPAフィルター付きの掃除機でしっかり吸い取りましょう。
寝室など特定の部屋には猫の出入りを制限し、アレルゲンの侵入を防ぐことも一つの方法です。飼い主の衣服に付着したアレルゲンが室内に持ち込まれることもあるため、寝具にはアレルゲン対応のものを使用し、こまめに洗濯すると良いでしょう。
アレルゲンの除去と効果的な掃除方法を実践することで、飼い主のアレルギー症状を軽減し、快適な生活環境を保てます。
まとめ
猫の換毛期は春(3月ごろ)と(11月ごろ)の年2回あり、大量の抜け毛が発生します。
特にダブルコートの猫は抜け毛が多く、グルーミングで飲み込む毛の量も増えるため、毛球症のリスクが高まります。毛球症予防にはこまめなブラッシングと掃除が必要です。
また、猫の唾液に含まれるアレルゲン「Fel d1(フェルディーワン)」が抜け毛に付着し、飼い主がアレルギーを発症することもあります。
アレルゲン除去のためにはHEPAフィルター付きの空気清浄機やエアコン、掃除機などを利用すると良いこともおわかりいただけたかと思います。
換毛期や抜け毛に対する理解は、猫の健康、飼い主の健康両方に強く関わってくるものです。また、猫では当たり前に吐くという行為も、よく観察すると病気の可能性が原因の場合もあります。適切なケアと対策で、猫の換毛期を快適に過ごしてください。