健康

【獣医師監修】猫の粟粒性皮膚炎とは?症状や原因・治療法を詳しく解説

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はじめに

毛繕いや身体を搔いている姿は綺麗好きの猫によく見られる姿ですが、皮膚に問題が起きている場合もあります。

猫が同じ場所を気にして掻いているならば、よく皮膚を確認してみてください。

皮膚に細かいブツブツが出来ていたら、栗粒性皮膚炎の可能性があります。

今回は栗粒性皮膚炎の原因や対処法について解説するので、愛猫の症状と比べてみてください。

猫は自分で痒みや辛さを訴えることができないので、毎日のコミュニケーションから早期発見・早期治療を開始してあげましょう。

粟粒性皮膚炎とは?

栗粒性皮膚炎とは、猫によく見られる皮膚症状の一つで栗粒状の非常に小さい丘疹が見られることから呼ばれています。

病変部分からは、白血球の一種である好酸球が多く見られることが特徴です。

まだ決定的な原因が見つかっておらず、アレルギーや感染症が関係していると言われています。

猫は身体が被毛に覆われていることがほとんどなので、見た目ではわかりづらいため撫でた時にブツブツしていて気付くことが多いです。

コミュニケーションが取れていないとすぐに気付けない可能性があるので、全身に広がる前に発見してあげてください。

身体をよく搔いている、過剰に毛繕いをしているなど様子の変化を感じたら、全身に異常がないか確認しましょう。

粟粒性皮膚炎の原因は?

今のところ栗粒性皮膚炎の原因の中で発症率が高いのはノミアレルギーです。

ノミの可能性が高いとはいえ、他にも原因となるアレルギーがあるので紹介します。

もしもアレルギーが疑われるときは早急に動物病院に連れて行き、原因を突き止めてもらい専門の獣医の指示に従いましょう。

主な原因はアレルギーと考えられている

栗粒性皮膚炎の主な原因として考えられるアレルギーを紹介します。

アレルギーは原因となる根源を無くさない限り症状が落ち着くことはありません。

それぞれの原因と対処法を紹介するので、愛猫が少しでも過ごしやすくなるように環境改善や対処をしてあげてください。

ノミアレルギー

アレルギーの原因治療法対処法
身体の表面にノミが寄生する
  • ノミの駆除剤を使う
  • 飲み薬
  • アレルギー剤・ホルモン剤の投与
  • 外用薬
  • 畳・カーペット・マットの掃除
  • 寝床・布団の掃除
  • ノミの卵・幼虫・さなぎの駆除
  • 部屋の中を清潔に保つ

ノミアレルギーは、ノミに噛まれたときに唾液の中に含まれているタンパク質などの成分が体内に入り、アレルギー反応を起こすことで発症します。

ノミに噛まれてアレルギー反応が出て、小さなブツブツができ、炎症が起こっている状態を栗粒性皮膚炎と呼びます。

痒みが出るので猫は後ろ足で身体を掻くようになるため爪で皮膚が傷つき、やがてすりむきまで発展し出血を繰り返すなど二次症状が起こる可能性があるので放っておくと危険です。

さらにひどくなると痒みのある箇所を過度に舐めてしまうのでグルーミングが激しくなり、患部が悪化して脱毛する場合もあります。

症状が出てしまうと激しい痒みを伴うため我慢させるのも辛いので、愛猫が生活する場所は常に清潔な状態に保つようにしましょう。

寄生虫

アレルギーの原因治療法対処法
寄生虫が猫の毛の中や皮膚に寄生する
  • 飲み薬
  • 注射
  • 外用薬
  • 寄生虫の駆除
  • 畳・カーペット・マットの掃除
  • 寝床・布団の掃除
  • 部屋の中を清潔に保つ

寄生虫には外部寄生虫と内部寄生虫がいますが皮膚炎が起こる場合は、外部寄生虫が原因です。

外部寄生虫はノミやマダニが代表的ですが、数種類いるため判断するには獣医に診断してもらう必要があります。

症状は栗粒性皮膚炎で痒みが出たり、血を吸われすぎて貧血になる可能性もあります。

また、寄生虫の中には病原菌を運んできて二次感染を起こすものもいるので注意が必要です。

いずれも激しい痒みが伴うため早期治療開始が望ましいので、なるべく早く動物病院に連れて行きましょう。

疥癬

アレルギーの原因治療法対処法
ヒゼンダニが猫の皮膚に寄生する
  • 注射
  • 飲み薬
  • 外用薬
  • ヒゼンダニの駆除
  • 畳・カーペット・マットの掃除
  • 寝床・布団の掃除
  • 部屋の中を清潔に保つ

猫の疥癬の初期症状は、耳の先端にかさぶたができたり、皮膚がウロコ状になりカサカサしたり分厚くなることです。

その後痒みが激しくなり、フケ・脱毛・炎症などの症状が出てきます。

痒みが強いため猫にとってはかなり辛い症状なので、早期発見・早期治療開始が望ましいです。

すぐに治療をしないとあっという間に全身に広がってしまい、非常に感染力も高いため多頭飼いをしているご家庭は特に注意してください。

耳や身体をしきりに掻いている時は、皮膚に異常が起こっている可能性が高いため早急に動物病院へ連れて行きましょう。

花粉

アレルギーの原因治療法対処法
スギやブタクサなどの花粉
  • 飲み薬
  • 外用薬
  • アレルゲンを避ける
  • 家の中に花粉を持ち込まない
  • 部屋の中を掃除する
  • ブラッシングをこまめにする
  • 空気清浄機を置く

花粉自体に毒性はありませんが、猫の体が花粉に反応してアレルギー症状を引き起こす事があります。

猫の花粉アレルギーの症状
  • 皮膚に発疹(栗粒性皮膚炎)
  • 痒みが出る
  • 舐める
  • 脱毛
  • 目やにが増える
  • 目の周りが赤くなる
  • くしゃみ・鼻水

猫の花粉による主なアレルギー症状は、皮膚の発疹や痒みが一般的です。

その他の症状が見られることも考えられますが、ほとんどが皮膚炎の症状なので発疹や掻いてる姿を見て気付く事が多いです。

身体の一部や全身を舐めてしまうこともあり、さらに炎症が広がったり脱毛を引き起こす可能性があるので、痒がる素ぶりが見られたらすぐ動物病院へ連れて行きましょう。

飼い主は猫が暮らす部屋の中へ花粉を持ち込まないように、家に入る前に服についた花粉を払い落としたり、空気清浄機を用意するのが望ましいです。

ハウスダスト

アレルギーの原因治療法対処法
目に見えない埃やその中にいる小さなダニ
  • 飲み薬
  • 外用薬
  • こまめに掃除する
  • 空気清浄機を置く

ハウスダストは目に見えない埃や、埃の中にいる小さなダニが原因でアレルギー反応を引き起こします。

アレルギー症状は花粉のアレルギー症状とほとんど同じなので、素人ではなかなか見分けがつきません。

自己判断で対処したり様子見したりせず、動物病院での診察が必要です。

部屋を清潔に保ち、空気を綺麗にしておく事で症状軽減につながるので、アレルギーが疑われる猫を飼っている場合はこまめに掃除をしましょう。

アトピー

アレルギーの原因治療法対処法
花粉・カビ・イエダニ・動物のフケなどに反応する
  • 飲み薬
  • 薬用シャンプーの使用
  • 減感作療法
  • 畳・カーペット・マットの掃除
  • 寝床・布団の掃除
  • 部屋の中を清潔に保つ
  • 空気清浄機を置く

アトピーが原因の皮膚炎の発症率は、アレルゲンの量と遺伝的感受性が関係していると考えられています。

初期症状は、顔周辺・足・胸部・下腹部に痒みが出る事が多いです。

症状が進むと皮膚感染症や耳の疾患が現れ、痒みが強くなるため引っ掻きすぎて脱毛する可能性もあります。

1〜3歳の猫によく見られますが、発症時期は4ヶ月〜7歳と幅広いです。

一度発症してしまうと生涯症状が続くので、完治するのが難しく症状を抑える治療をするしかありません。

使っているシャンプーを変えたり、生活環境の改善で症状が抑えられる可能性があります。

また、減感作療法はアレルゲンを徐々に猫の体内に入れ、慣らしていく治療法です。

さまざまな原因がある

栗粒性皮膚炎の原因は様々なアレルギーやアトピーが主な原因と考えられています。

考えられる原因が多いため、症状が見られる場合は動物病院を受診することが大切です。

検査によって原因が分かる場合もありますが、原因の特定が困難なことも珍しくありません。長期的な治療が必要になることもあるので、獣医師の指示に従い治療を継続しましょう。

粟粒性皮膚炎の主な症状

栗粒性皮膚炎になった時の主な症状を紹介するので、疑わしい場合は愛猫の症状と見比べてみてください。

もしも、栗粒性皮膚炎の可能性がある場合は早急に動物病院へ連れて行きましょう。

皮膚に赤い斑点ができる

栗粒性皮膚炎で1番よく見られる症状が、皮膚にできる赤い斑点です。

小さな丘疹が多数見られるのが特徴で、痒みを伴うことが多いため愛猫がやたらと身体を掻いている事で発見されやすいです。

皮膚の表面が少し盛り上がり触るとざらざらしている

栗粒性皮膚炎の猫の皮膚は、表面が少し盛り上がっており触るとざらざらしています。

撫でた時の手触りが普段と違うと感じた時は、患部にブツブツができていないか確認してみてください。

頭や首・背中などにできることが多い

栗粒性皮膚炎の症状が出やすいのは、頭・首・背中です。

スキンシップをとる時に撫でたり、比較的よく触る部分なので普段から気を付けて触ってみてください。

痒みが強い場合は、舐めてしまって脱毛していたり、引っ掻きすぎて出血している可能性もあるので注意が必要です。

症状が進行するとかさぶたのようになる

痒みや丘疹の症状が進行すると痒みが強くなるため引っ掻いて出血し、かさぶたのようになる事があります。

かさぶたを繰り返し引っ掻いてしまうと、なかなか治りづらくなってしまうので早急に引っ掻く行為をやめさせなければなりません。

痒みを抑える薬を使ったり、引っ掻かないようにエリザベスカラーをつけるのがおすすめです。

かゆみが強い

栗粒性皮膚炎の症状は、小さな丘疹に伴って強い痒みが出る事が多いです。

痒みが出ると引っ掻いたり舐めてしまう事で症状が悪化する可能性があるので、放置するのはやめてください。

皮膚を掻いたり舐めたりするようになる

猫は痒みを感じると患部を掻いたり、舐めるようになります。

その時点で気付く飼い主の方が多いですが、できた丘疹が破けてしまう前に治療を開始できる事が望ましいです。

愛猫が身体を描いたり舐めている仕草が見られる時は、毛をかき分けて皮膚の状態を確認し、異常があったらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

脱毛や皮膚のただれが起こることがある

猫は強い痒みを感じると、過剰に患部を舐めてしまいます。

過剰グルーミングとも呼ばれ、同じところを何度も舐め続けるせいで、脱毛や皮膚のただれが起こる事があります。

特にお腹・後ろ足・内腿・お尻・背中など舌が届きやすいところに脱毛が見られやすいです。

猫の舌はザラザラしているので、脱毛やただれが起こっている場所を舐め続けると、皮膚に炎症を起こしたり出血する可能性もあるので注意しましょう。

細菌が入って別の皮膚病を発症することも

猫は痒みが強いと患部を掻いたり、毛繕いが増えます。

激しく掻きすぎて皮膚に傷ができてしまうと、そこから細菌が入り別の皮膚病を発症する可能性があります。

二次感染と言って、最悪の場合は栗粒性皮膚炎の症状よりもひどい炎症や合併症を起こす可能性があるため大変危険です。

傷ができてしまった時は、すぐに動物病院で適切な治療を受けましょう。

粟粒性皮膚炎の治療法

栗粒性皮膚炎の治療は、痒みなどの症状の強さによって変わります。

診断は自己判断せずに、専門の獣医に必ず診てもらってください。

それぞれの猫の体調や症状に合った治療をすることが望ましいので、栗粒性皮膚炎の疑いがある場合は早急に動物病院へ連れて行きましょう。

かゆみをコントロールする

栗粒性皮膚炎の辛い症状は痒みです。

我慢できないほど強い痒みが出るので、猫は掻きむしってしまい引っ掻き傷ができてしまいます。

そこから二次感染をしたり、舐めてしまって症状の悪化につながる可能性が高いです。

痒みは薬によって症状が抑えられるので、上手に使ってかゆみをコントロールしてあげましょう。

軽度のかゆみには抗ヒスタミン薬を使用

軽度の痒みが出ている場合は、抗ヒスタミン薬を使用します。

ほとんど副作用もないので、まずは抗ヒスタミン薬の投与から治療が始まることが多いです。

1日2回以上の錠剤の内服が気まぐれな猫にとっては難しい問題もありますが、上手く内服できれば痒みのコントロールが可能です。

かゆみが強い場合は副腎皮質ホルモン剤を使用

副腎皮質ホルモン剤は、強いかゆみを伴う皮膚炎の第一線と呼ばれている治療法です。

はじめは強い用量で投与し、症状が落ち着いてきたら徐々に用量を減らしていきます。

副腎皮質ホルモン剤の副作用
  • 異常に喉が渇く
  • 免疫抑制
  • 食欲が増える
  • 流産の可能性が高くなる
  • 尿を漏らす
  • 膵炎の危険が高まる
  • 筋肉の虚弱
  • 気力・喘ぎ症状

もしも上記のような副作用が出た場合には、用量を減らしたり別の薬に変える必要があるのですぐに動物病院に連れて行き、専門の獣医の指示に従ってください。

細菌感染を合併している場合は抗生物質を併用

栗粒性皮膚炎は痒みが強く出るため猫が掻きむしることが多く、その時にできた引っ掻き傷などの傷口から細菌が侵入し、細菌感染を合併してしまうことがあります。

細菌感染をしてしまった場合は、抗生物質の併用が必要です。

薬には飲み合わせや猫によって合う合わないがあるので、併用する場合は必ず獣医の指示に従って投薬治療をしてください。

粟粒性皮膚炎を予防する方法はある?

そもそも栗粒性皮膚炎にならないためには、日頃から予防することが大切です。

主にアレルギーが原因になるため、全てから予防するのは難しいですが、なるべく原因となるアレルギー成分を排除し部屋の中を清潔に保ちましょう。

ノミが原因になることが多いため定期的にノミの予防を行う

栗粒性皮膚炎の原因として1番多いと言われているノミアレルギーは、定期的に予防をすることができます。

薬の種類価格頻度
滴下タイプ1,000〜2,000円月に1回

予防法で1番おすすめなのは、滴下タイプの予防薬です。

後頭部から首付近の毛をかき分けて直接地肌に滴下します。

1箇所滴下すれば全身に広がってくれるので、身体を触られるのが苦手な猫でも使用しやすいです。

他にも首輪タイプの予防薬もありますが効き目が弱く、皮膚トラブルにつながる危険もあるので、予防薬を使う場合は自己判断せずに専門の獣医の指示に従ってください。

また、薬によっては一緒にフィラリアやお腹の虫にも効き目があるものもあるので、目的に応じて獣医と相談して選びましょう。

猫とスキンシップをすることで早期発見ができる

栗粒性皮膚炎は見た目ではわかりにくいですが、触るとブツブツしているので発見しやすいです。

日頃からスキンシップをとっていると皮膚の変化にも気付きやすいので、1日1回は猫とコミュニケーションを取り、身体を触ってみてください。

早期発見をする事で、軽度の症状で済むこともあります。

まとめ

今回は猫と栗粒性皮膚炎について紹介しました。

小さな丘疹でも強い痒みがあるため、猫にとってかなり苦痛になる症状の一つです。

原因はノミアレルギーが1番多いですが、その他のアレルギーにも反応が起きる可能性があります。

愛猫に栗粒性皮膚炎の症状が見られる場合は、早急に動物病院へ連れて行き、原因の特定と早期治療を開始してください。

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